2023年12月15日金曜日

「どろどろの聖人伝」3

http://www.art-library.com/bible/magi-adoration.html
全ての聖人の頂点に位置するのは、聖母マリアである。受胎告知を天使ガブリエルから率直に信じたわけだが、当時のユダヤ教の律法では、婚前交渉は石打ちの刑。命がけの覚悟であったという事実を私はは知らなかった。婚約者ヨセフも、告発することもなく、つまりマリアの処刑を回避、さらに天使の「あなたが母子を守れ。」というお告げを信じた。これには、聖書に救世主はダヴィデの子孫から出ると書かれてることが大きい。ヨセフもマリアもダヴィデの子孫であったからである。

ところで、聖書にはイエスの兄弟が何人か登場する。プロテスタントは、マリアはイエスを産んだ後、ヨセフとの間に子をもうけたと考え、「聖性」を失ったと考える。カトリックやオーソドックスでは、「兄弟」と訳される原語は「親戚」も示せることから、「聖性」は失われていないとしている。信憑性は疑われるが、初期キリスト教文書によると、マリアと結婚した時点でヨセフは高齢で、前妻との間にイエスの兄弟がいたのでは、とも言われている。

カトリック教会では、「聖母マリア、全ての天使と聖人、そして兄弟姉妹の皆さん。罪深い私のために、神に祈ってください。」という回心の祈りをするとのこと。聖母マリアは、天使たちより上位に置かれているわけだ。

ベツレヘムでイエスが誕生した時に登場する「東方の三博士」(画像参照)について。彼らは最初、よりによってヘロデ王の元を訪れ、「ユダヤの王となる救世主はどこにおられますか。東方でその星を見て拝みに来ました。」と言う。聖書には「救世主はベツレヘムで生まれる。」と書かれていることを知り、旅立つ学者たちに、「その子を見つけたら知らせて欲しい。」とヘロデ王は言うが、イエスとの対面後、天使に「ヘロデ王のところに帰ってはならない。」と告げられ、別ルートで帰国した。このことで、ベツレヘムの2歳までの幼児が虐殺される事件が起こる。

この三博士の存在は伝説的で、黄金、乳香、没薬(鎮痛剤)を贈ったので3人とされ、ヨーロッパ、アジア、アフリカの老人、中年、若者の男性で、イエスの弟子・トマスの洗礼を受けクリスチャンとなり、後に司教になり、聖人として崇敬され、その聖遺物がケルン大聖堂に保管されているという。前述の聖クリストフォロスが人気になる前は、この三博士が「旅人の守護聖人」となっていた。さて、肝心のイエスはエジプトに逃れ、ヘロデ王の難を逃れたが、救世主のかわりに犠牲となった幼児たちは、「幼子殉教者(ホーリー・イノセンツ)」という聖人名で今も崇敬されているという。

0 件のコメント:

コメントを投稿