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教皇選挙(コンクラーヴェ)で選ばれた枢機卿が就任を受諾した後、最初に、教皇名を決定する。個人名をそのまま名乗ることも可能だが、今は新たな名前を選ぶことが多い。すでに同名の教皇がいれば「○世」をつける。その人が初めてなら「一世」はつけない。6世紀に、ヨハネス2世となったメルクリウスまでは個人名だったが、古代ローマの商業の神と同じ名前はまずいと、異端問題で殉教(当時の東ゴート王国のテオドリックにより、教皇にされ、アリウス派弾圧を行っていた東ローマ帝国ユスティヌスのもとに派遣されたが満足な成果をおさめられず帰国、激怒したテオドリックに投獄され老齢のため死去。)した三代前のヨハネスにちなみ名を変えたのが最初である。このヨハネスという教皇名が最も多く23世までいる。(ただし、算定の混乱で、正統教皇としては、6世と20世は存在しない。)他には、グレゴリウスが16世まで、ベネディクトゥスも16世まで、クレメンスが14世まで、インノケンティウスが13世、ピウスが12世までいる。教皇名選定の理由は様々で、信心を持つ聖人、優れた先任教皇、選出された日の守護聖人、恩人などから取られることも多い。避けられる名としては、(初代教皇である)ペテロは慣例的に選ばれないし、フォルモス(美男子の意)も897年に死体裁判された教皇を彷彿させる故に忌避されている。1978年就任直後に死去したヨハネ・パウロ1世は、第二バチカン会議を開いたヨハネ23世と、それを引き継いで終了させたパウロ6世の二人の先任者の名をとった。教会改革への強い意志を込めて、2人の名を合わせた最初の教皇である。ヨハネ・パウロ2世は、1世の意思を受け継いだわけだ。
フロイドのエディプス・コンプレックスで有名な「オイディプス」の名前の意味や由来は古来より様々な異伝があり、今だ謎である。「オイデ(ィ)(ふくれ)+プス(足)」という説は、ソポクレスのギリシア悲劇「オイディプス王」の中で、父を殺すという神託故に3日もたたず捨てられた時に、くるぶしを留め金で貫かれていたため足がふくれていたとされるが、後世の合理化、後付けではないかと言われている。この「ふくれ足」に近い説に「オイデ(ィ)(ふくれた波)+パイス(子)=波の子」があり、川や海に捨てられた岸辺に漂着した子供という俗語源的解釈もある。最も意味深長なのは、スフィンクスの謎を解いた故に「オイダ(我知る)+プス(足)」で、このプスは、謎に登場する足の数(4・2・3)を意味する、というもの。あるいは、自らからを指差した答え「オイ(おお、ああ)+ディプス(二本足=人間)」もあるのだが、この両説共に仮説にとどまっている。ちなみに、レヴィ=ストロースは、「構造人類学」の「神話の構造」の中で、父の名「ライオス(左の、不吉な、不器用な)」、祖父の名「ラブダコス(L字の、足の不住な)」に、人類の誕生の謎に関わる神話の投影を読み取っているとのこと。
…最終回は、外伝風にローマ教皇とオイディプスを取り上げてみた。この新書にはまだまた興味深い話が載っていて、勉強になるのだが、ここまでにしておこうと思う。
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