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アフリカ開発経済学関係では、「アフリカ 希望の大陸」が、かなり良かったし、PBTの教え子のJ君とL君に贈呈された「民主主義の自由と秩序」「古市くん、社会学を学び直しなさい」も実に良い本だった。
図書館で借りた本では、幕末明治維新に纏わる吉村昭を多数読んだ。その中では、「生麦事件」「彰義隊」が特に良かった。海音寺潮五郎や星新一の人物論も実に面白かった。世界史関係の本も多数読んで面白かったものも多い。読書量が多かったので、今年この一冊を選ぶのは、実に悩むところである。
というわけで、悩みに悩んで決めた今年の一冊は、10月に市立図書館で借りた「頭山満伝 玄洋社がめざした新しい日本」(井川聡/20211月:産経NF文庫)である。尊王攘夷思想と陽明学、そして島津斉彬を祖とする大アジア主義が、近代日本の思想の根底にあって、これを貫いた人物が頭山満という人物であるといえる。尊王は、明治期以来日本の普遍的な思想になった。攘夷は、西洋列強と対決することは事実上不可能なので、日本の植民地化を防ぐために、西洋の学問を取り入れる方向性と、一方で中国や朝鮮と共に近代化を進めて立ち向かうという方向性に分かれる。福沢諭吉は、途中で脱亜論を書き大アジア主義から転向する。島津斉彬の志を継いだ西郷の征韓論や福沢の脱亜論・明六社といった明治期の思想を知る上で非常に有効な本である。さらに、彼に繋がる中江兆民、広田弘毅、中野正剛といった人物論にも興味がつきない一冊だった。倫理の授業で、日本思想史を講ずるにあたって、陽明学の浩然の気を理解する上でも非常に役立った。
15年目を迎えるこのブログは、来年もまた書評が中心になっていくだろうと思う。それでは皆さん、よいお年を…。
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