設問A(1)2002年と2017年時点の25歳~34歳女性の労働力率、管理職に占める割合を国別に示した表(上記画像)で、ABCをスウェーデン、日本、トルコに当てはめる問題。女性進出状況を大まかに考えるとA>C>Bとなり、A:スウェーデン、B:トルコ、C:日本となる。トルコはイスラム教国であること、ただし女性の自由度が他のイスラム国より高いことなどを知っておく必要があると思う。(2)イスラエルが周辺に位置する国と比較して女性の労働力率が高い要因を40字で記述。イスラエルは周辺のイスラム教国のような女性の地位の低さがないこと、小国で労働力が豊富ではないことなどかな。(3)フィリピンは、管理職に占める情勢の割合が高いが、労働力率は高くない。この理由を60字で記述。一言で言えば、経済格差、ジニ係数が高い故。富裕層は高学歴化、貧困層は家族が多いので家事労働に追われているというところか。
設問B(1)日本の地方別2010年~2015年の女性の職業別就業者数の増減、合計特殊出生率の変化のグラフ(画像参照)を読み解く設問。まずは、アイウの職業名を、農林水産、生産工程、サービス職業から当てはめる問題。これはかなり難しい。アは増加傾向にあるので、サービス職業だとわかるが、イとウはかなり迷うところだ。近畿を見ると▲3と▲17なので、イが農林水産、ウが生産工程かと見える。冷静に分析する必要があるかも。(2)販売従事者が減少している理由をウと比較して40行で記述。ウが減少しているのは、一言で言えば産業の空洞化によるもの。販売従事者の減少は、機械化やセルフ化によるもの。(3)管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者、事務従事者の合計がいずれの地方でも増加しているが、首都圏での増加の理由を40字で「オフィス・若年層」を使い記述。これはオフィスの首都圏への集中と、若年層がそれによって集まっている事を示しているようだが、コロナ禍で、リモートワーク化が進み、脱東京化が話題になっている。いずれそういう問題も出てくるのではないだろうか。(4)首都圏で見ると、合計特殊出生率が全国的に高かったのに、70年代以降低い水準に変化、とどまっている理由を60字で記述。これはまさに、一般的な(公民教科としての)現代社会の問題。高度経済成長期に集まった若年層が結婚・出産をしたが、その後は経済が停滞し結婚できない単身世帯の増加、あるいは女性の晩婚化が進んだといえる。決して難問ではないが、整理して記述するのはかなりの訓練がいる気がする。これで東大の地理は終了。何度も言うが、東大の文系は地歴2科目である。150分で2科目。じっくりと冷静に問題に取り組むことになる。文科1類はのちの官僚の登竜門。特に大問3は、そういう出題意図も感じた次第。
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