2021年1月31日日曜日

閑話休題 GAME STOP事件考

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/01/post-95521.php
ウォール街の機関投資家と一般投資家が、GAME STOPという会社の株取引で戦争をしている。GAME STOPは、オンラインではなく昔ながらの店舗でパッケージでソフトを販売している会社なので、業界からも株価は下がると見られていた。実際、2016年の平均株価は$28くらいだったが、2019年には$3以下になったこともある。これに目を付け、ウォールストリートの機関投資家たちが空売りを仕掛けた。株価が下がれば下がるほど儲かる。

これに、一般投資家の掲示板(和訳するとウォールストリートの賭場)で、昨年11月くらいからこの空売りに反発した人がこの株を買ったぞと投稿。これに賛同する人々が買い注文を出したので、$50まで上昇した。その後、最高で$400まで上昇、現在は$300くらいで維持されている。

空売りを仕掛け、いつもは一般投資家に損をさせている機関投資家筋は、$200憶の損害を被ることになる。そこで、一部の証券会社(このバックには民主党のGBがいるとかいないとか:これは未確認情報)が取引制限を行い、購入の機能を止め、売りの機能だけ残した。この制限措置で、GAME STOPの株価は大きく下落した。

…まさに権力者による自分に都合の良いルールの変更である。大統領選と同じ路線であるといえる。だからこそ、この話はアメリカで大きな話題になっている。

一般投資家は、当然ながら、証券会社に対し訴訟を起こした。市場の自由を殺す行為であるからだ。やがて、国会議員も批難を始めた。民主党の極左の女性議員は、単純に資本主義の悪を糾弾、彼女のツイートに共和党の超保守議員は全面的に同意するとリツイート。資本主義のルールを破壊することを批判した。(極左女性議員はかなり不愉快だったらしい。笑)両極端の立場からではあるが、国会議員の批判を受けて、証券会社は取引制限を解除した。すると、一気に$300まで上昇し、現在、空売りを仕掛けた機関投資家側は大損するという状況にある。

 多くの個人投資家は、自己の利益より正義を志向している。この会社の株価は、その実態から見て$300は高すぎるので、この(武力を伴わない)戦争が勝利しても、一般投資家は損をするはずだ。$1000~2000の損をしてもいいと彼らは考えているようだ。

リーマンショックの時、アメリカでは経済が失速し、多くの失業者が出たが、ウォール街のエリートたちは政府から助けられた。莫大な退職金を得た者もいる。この時、ウォール街を若者が占領した。資産がない時間だけはある若者の反発だった。しかし、今回の反発は、資産のある中産階級によるものである。一般人とエリートの分断を代表する出来事であるが、占拠事件とは大きく趣が異なる。

…まさに、個人商店の集合である商店街が、損害覚悟で大型小売店に喧嘩を売っているような話で、実に興味深い。そもそも空売りは、金融市場で認められてはいるが、こういう投機と投資の境目がないところが、(開発経済学者アマルティア=センの言う)市場を飼いならすことを阻んでいるように私は思う。

…大統領選挙では、民主主義が破壊されたが、今回の事件は資本主義が破壊されようとしている。この件は、アメリカの破壊という点で結びつく。

実は、大統領選挙でも様々な未確認情報がさらに出ているのだが、今日は、昨日の延長線上で経済の話をエントリーしてみた。 

https://www.youtube.com/watch?v=FqTS-L2Z3as

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