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この731部隊については、様々な著作があるが、どこまでが真実かはわからないことも多い。しかしながら、実際に日本軍が、石井という軍医(最終的には中将)を中心に多くの医師が人体実験を行ったことは確かであるらしい。なぜなら、この部隊のあったハルビンの指令部は、徹底的に彼らによって破壊され証拠が隠滅されたこと、石井は、東京裁判で戦犯指定を受けるが、アメリカに当時の資料を提供することで、公職追放で事なきを得ていることなどが挙げられる。私の知る限りでは、アウシュビッツでヒムラーらSSが行っていたユダヤ系の人々などに対する人体実験とあまり大差はない。
731部隊に関わっていた人物は、すでにもうこの世にはいないかもしれない。彼らがやったことは、戦時下ということを考慮しても許されることではないと私は思う。道具的理性で行った行為であることは間違いがないし、東北部の人々や政治犯とされた人々への人権感覚の欠如は、まさに一般市民を虐殺したことに等しい。
以前、私が勤めていた商業高校(奉職した40年近く前)、最も給料が高く人気があったのは、Mという医療品関係の会社だった。この731部隊の関係者が当時得た実験資料をもとに高価な血清をつくっているのではないかと噂されていた会社だ。いずれそれが真実かどうかも、この資料公開で明らかになるだろう。
いずれにせよ、日本の過去の恥部であることには違いない。私は、ことさらに、この問題を追及するのではなく、二度とこのような悲劇を繰り返さぬ為の教訓として、この名簿の公開を活かしてもらえれば、と思う。
化学兵器が使われたとして、シリアに大量のトマホークが打ち込まれたようだ。問題は、このような兵器の使用を考える人間にある。アサド大統領の父を権力に据えた宗主国フランスの責任は、この攻撃に参加することで消えるはずはない。
人間と権力の問題は、人類史始まって以来の問題である。フーコーの権力の研究や本多勝一の「殺す側の論理」「殺される側の論理」を読む以前に、人間の愚かさ、煩悩について考えてみるべきだと思うのだ。
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