4月1日。新年度である。(PBTは、1月入学・4月入学があり、日本ほどはっきりとしていないのだけれど…。)F38文系の学生達の多くは、日本へ旅立っていった。多くの学生から、その連絡・報告をLINEで受けた。とはいえ、様々な理由でマレーシアに残っている卒業生もいる。L君もその一人である。現在ある日系企業で契約社員として働いている。先日、文集を取りに来てくれて、その際2冊の本をプレゼントしてくれた。彼女の勤める日系企業で蔵書を従業員にフリーで持っていっていいよ、と言う話になったそうだ。で、L君が私が喜びそうな本を選んでくれたというわけだ。その1冊が、「ドリアン国で大奮闘」(長谷川正博著/文芸社・2006年発行)である。
この本は、H社(おそらく日立だと想像できる)の電器部門のブラウン管の工場ならびに物流関係企業のマレーシア現地法人立ち上げにまつわる体験記である。2006年の発行なので、ほぼ20年前の話である。現在とは、事情や法的な規制も変化していると思われるが、なかなか面白かった。ほぼ1日で読み切れる本である。
ブミプトラ政策が、外資企業に落とす様々な規制は、ある程度知っていた。PBTにも、ダトゥー(称号)を持つブミ・パートナーがおられるからだ。新会社設立にあたって、このブミ・パートナーに、日本から長期貸し付けというカタチで口座に入金する。その口座からすぐ新会社の出資金のカタチで会社の口座に移すらしい。これを「アリ・ババ商法」という。「アリ・ババ」のアリは、マレー人によくある名前で政府から優遇されているマレー系を意味する。ババは、明王朝時代にマラッカに移った中華系の男性の意味(女性のニョニャの方が料理で有名だけれど…。)で、アリが名目上のトップだが、中華系が実質カネを出しているということである。うーん、マハティール前首相が、「マレージレンマ」の中で嘆いていたこのアリババ商法、2年もマレーシアにいればよくわかってきた。
その他にも、現地法人立ち上げで、様々な艱難辛苦が書かれている。様々な申請で苦労するわけだ。経営学部に学び、起業するとなれば、こういう事を1つ1つクリアしなくてはならないわけで、実に大変であるというのが正直な感想。ガンバレ、経営学部生。
また、ローカルの人々の社員教育の話が出てくる。日本とは異なる宗教・習慣・文化に配慮しつつ、いかに日本式の企業人を育てるか?これも実感を伴って納得するところである。マレーシアの人々にも日本人同様、良い面も多いし、悪い面も当然ある。まだまだわからないことも多いし、それが面白い。
…そう、今日でマレーシア3年目に突入である。
2018年4月1日日曜日
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