2018年4月3日火曜日

13歳からの法学部入門を読む。

これも、日本人会の無人古本コーナーでふと手にとって買った本である。「13歳からの法学部入門」(荘司雅彦著/幻冬舎新書2010年5月発行)。F40Aの学生で、法学部(といっっても政治学だが…)に進みたいと考えている学生がいるので、ちょっと読んでみようかなと思ったのだが、この本、私自身にとっても実に面白い。文章や例が平易だし、意外に刺激的でもある。表題の13歳・中学生にはおそらく無理だと思うが、政経を学んだ高校生くらいなら、十分理解できると思う。すなわち、私のIBT(現PBT)の教え子諸君にもわかるはずだ。特に社会科学系に進んだF36・F38の学生諸君にも是非とも一読を勧めたい。

私がバス車中で読んだのは、まだ半分なのだが、社会契約説で、ホッブズを狼説、ロックとルソーを羊説と、自然状態のとらえ方で区分するのは分かりやすい。狼説は経済学で言う財は希少であるという原則から見ると、狼説は奪い合いを始めるが、羊説は法律や国家が無くとも、平和的に交換すると考える。ロックは私有財産を自然権の一つとした。経済学的に見ても、ロックは重要人物であると言えるわけだ。社会契約説全般として、この思想は税金を納める代わりに、自分たちの生命や財産を国家に守ってもらうことと同義であり、これはアダム=スミスの夜警国家と結びつく。

我々社会の教師は、政治分野で社会契約説を、経済分野でアダムスミスを教えることが多い。これらを結びつけている説明を文学部出身の私は、恥ずかしながら初めて聞いた。なるほどなあ、と引き込まれていったのだった。そもそも、この頃から政治学や法学、経済学、社会学などといったカテゴリーはなかったのである。当然の話なのだが、少し目から鱗が落ちた次第。還暦を過ぎて、新たな発見をしているようでは、今までの授業は何だったんだ?と思ってしまうが、後悔するより精進し、前進するのが私の美学である、とちょっと反省を込めてごまかしておく。(笑)

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