2017年3月25日土曜日

「マハティールのジレンマ」

昨日、なんとなく日本人会の古本コーナーを覗いてみた。すると、「マハティールのジレンマ-発展と混迷のマレーシア現代史-」(林田裕章著・中央公論出版社/2001年11月発行)という本を見つけたのだった。もちろんRM1である。背表紙には日本円では1800円、マレーシアKLの紀伊国屋ではRM99.9の値札がついていた。つまり、当時1800円の本が、マレーシアに輸入され3000円ほどの値がつき、どなたかが購入し、私はその1/100程度で購入したという歴史がこの本にあるわけだ。

著者は、読売新聞記者である。シンガポール特派員として、マレーシアに関わりをもち、この本を書き上げたらしい。「はじめに」を読んでいて、実に興味深い内容であることがわかった。

第一章は、マハティールが首相に就任して以来の高度経済成長の内実とマハティールに絶大な権威を与えるようになった過程を説明する。
第二章は、政治家になるまでのマハティールの歩みや思想を紹介するとともにマレーシアの政治構造の成り立ちを振り返る。
第三章は、アジア通貨危機に対するマハティールの論理を分析し、グローバリゼーションの中でどういう意味を持つのかを考える。
第四章は、アンワル逮捕事件とその後の政治的動きについて描く。
第五章は、マレーシアの民族問題に焦点を当て、マハティールの認識を解説する。
第六章は、マハティール以後のマレーシアの選択の方向性を予測する。

古本であるから、その書かれた時期を念頭に読まねばならないのは当然だが、極めて興味深い内容だと思う。以前読んだ「ラーマンとマハティール」(本ブログでは、その内容について、昨年12月に「マレー・ジレンマ」というタイトルで9回エントリーを重ねた。)の続編に値する内容である。古本コーナーで手にとって、パラパラめくっていていた私の顔は、きっと満悦の笑みを浮かべていたのではないかと思う。

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