ペナンとくれば、「ショップハウス」である。宇高雄志氏の「多民族社会マレーシア」の前半部で、詳細に描かれているショップハウス。一階が店舗、二階が住居になった奥行きの長い日本の町屋のようなもので、他の東南アジア諸国にもあるけれども、その街並みがこれだけ集中して見られるのはめずらしいらしい。旅装をといて、まずはジョージタウンの中心部をめざすことにした。
ところが、ペナン島の道はわりと複雑である。なかなか中心部につかない。だが、ショップハウスはいたるところにあって、歴史を感じさせるもの、カラフルに彩られたものなど、様々な展開を見せてくれた。意外にバイク関係の店が多い。おそらくKLより、ペナンはバイクの走行比率が高いと思う。結局、ジョージタウンの中心部へはたどり着けなかった。炎天下、歩き疲れて、妻がギブアップしたのだ。無理もない。一度ホテルに戻った。私は、この分では明朝行く予定のユダヤ人墓地も彷徨うことになるのではと、考えた。WEBで調べた記憶を頼りに、ひとり下調べに向かったのだった。
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やっと見つけたユダヤ人墓地 |
しかしここでも約2時間彷徨うことになる。なんと見当外れの聖ジョージ教会まで行ってしまった。どうやら、最初に進むべき道を間違えたらしい。こういうことは、様々な国でひとり旅をしてきた私にとって、非常に珍しいことだ。「歳をとったなあ。疲れているのかなあ。」と何度も悔恨の情がこみ上げてくる。結局コムタまで戻り、もう一度重い足で歩き出した。2時間近く歩き続けて、ついにユダヤ墓地を発見した。(ホテルからは実は10分もかからない。)ちょうど閉園間際であった。インド人の管理人がいて、入れてくれたけれど、明日また妻と来ると言うと、10時開園だと教えてくれた。Tシャツは汗を吸ってかなり重くなっていた。だが、この2時間以上の彷徨のお陰で、かなり地理感がつかめたし、発見もあったのだ。
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ユダヤ人墓地近くのモスク |
それは、あたりまえのことだが、ジョージタウンは、中華系とインド系の街だということである。貿易のための直轄植民地だったので、マレー系の人々はここでは少数派なのである。たしかにマレー系の人々も少なそうだし、KLでよく見かけるような、敷地の広いりっぱなモスクは極めて少ない。肩身の狭そうな感じで佇んでいることが多かった。
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ショップハウスの1Fの道教の祠 |
反対に、中華系の道教寺院やヒンドゥー寺院がかなり多いのだ。しかもショップハウスには、道教寺院風のような場所もたくさん見られた。おそらく、空き家になったハウスを道教の寺院化しているのだろう。KLでもよく見かける「祠」が家一軒分になったような感じになっているわけだ。ジョージタウンは、同じマレーシアでもKLとは大分違う。なかなか興味深い街だと思う。
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