NewsWeekの日本語版のWEB記事に、デュラントという米国作家の歴史書(日本題:歴史の大局を見渡す)の話が出ていた。この人物、なかなか興味深い。カトリックの家に生まれ、イエズス会の大学に進学しながらも、ダーウィンやスペンサーの進化論と出会い、信仰がゆらぎ、スピノザの影響を受け、進学校を去り、NYの労働者階級のためのモダン・スクールの教職に就く。コロンビア大学の大学院で学び、哲学の講義内容が注目されて出版、哲学を一般的なものにしたとして、ベストセラー作家となる。その後、文明について書き始め、ピュリツァー章(一般ノンフィクション部門)を受けたという。
…なかなか面白い経歴である。ダーウィンの進化論という近代自然科学、それを社会科学的に応用したスペンサーの哲学が、彼の信仰を揺るがし、スピノザの汎神論的な哲学に影響を受けたというのは、西洋哲学史から見ても、系譜的に、なるほどと頷けるところである。
…彼の歴史観は、やはり進化論的で、自然淘汰から逃れることはできないとする。フランス人権宣言の自由と平等を両方を手にすることなど、できないと言う。確かに、自由と平等は二律背反している。
…特に重要なのは民主主義は、知性を身につけていることが必要で、多数の人をだまして大国を支配することは可能だと警鐘を慣らしている。「耳に心地よいだけの言葉に乗らないよう、ものごとを知り、自ら考え判断することが求められる。」という部分であろう。
この記事のタイトルは、「50年前に発していた現代の警告」である。かなり意味深なタイトルである。(笑)
2017年3月21日火曜日
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