2016年10月18日火曜日

IBTの話(46) 違憲立法審査権

https://www.youtube.com/watch?v=7bfH1j6udR8
EJU対策の授業をしている。過去問の解説も重要である。出題の傾向がよく見えてくるからだ。よく出題される過去問から意外なことに気づくこともある。世界史や政経で分けて教えていると見えないが、EJUの範囲は地理・歴史・経済・政治などが、近代国家論を軸にコンパクトにまとめられているので、見えてくるのだ。

例えば、政治分野での三権分立、各国の政治体制みたいな部分と、近現代史を重ねていくと、違憲立法審査権が面白い。EJUでは、アメリカの政治体制がよく出題される。ジェファーソンの作った政治システムは、実によくできている。裁判所の違憲立法審査権と議会の大統領弾劾、議会の解散権はないが大統領には拒否権があることなど、何度も確認するのだが、なかなか面白い。

日本は、イギリス式の議院内閣制とプロイセン的な大日本帝国憲法をもっていたが、アメリカはこの政治ステムを自国をモデルに改正したようだ。その最たるものが違憲立法審査権である。ところで同じ議院内閣制なのに、イギリスには、この違憲立法審査権はない。

今日、生徒に質問してみた。すると、両クラスとも的確な答えをする生徒がいるのだ。「イギリスには憲法がありません。」そうなのだ。マグナカルタや権利の章典以来の不文法・慣習法である。だから、違憲という概念はないわけだ。近代史をやりつつ、政治分野もやるからこそ気づけるかもしれない。EJUの総合科目の学習は、こういう知識の統合が可能なので、なかなか面白いのである。

ちなみに、この「憲法がないから」というのは大正解なのだが、より具体的には現在のイギリスでは、欧州人権条約がそのかわりをなす存在になっているようだ。だが、やはりクイーンズ・イングリッシュには違憲立法審査権という語彙は存在しない、とのこと。

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