http://www.vianostra.at/scriptorium/politik/politik-reich-1.htm カノッサの屈辱 |
土曜日は、歴史の補足をやることにした。全4回の講義である。私が4月にIBTに来る前の部分。具体的には、イギリスのピューリタン革命・名誉革命とアメリカ独立革命、フランス革命とナポレオンの時代である。EJUの総合科目の世界史の範囲は、近代国家論そのものなので、民主主義の成立からスタートする。来年から名誉革命とピューリタン革命は範囲外となるようだが、いずれにせよ、前提がわからなければきちんとした理解がムツカシイ。
そこで、古代・中世・近世を社会類型をもとに講義することにした。世界史の教科書では、重要なポイントが抜けていて、雑然とした知識の羅列になってしまうことが多いと私は思う。「自由な個人」と「不自由な共同体」というヨーロッパ古代からの社会類型(2011年10月から11月にかけてのブログ「武器としての社会類型論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」参照)を元に解くのが一番わかりやすい。古代ではローマ市民、中世では封建領主と聖職者が「自由な個人」として支配する側にある。彼らは、富と自由、政治参加の権利を持っていたが、同時に自前で軍事を担当していた。このことがわからなければ、十字軍で没落する領主の存在や、傭兵で戦争を繰り返した近世の絶対君主が商業資本を取り入れて君臨した事がわからない。
一方で、中世にかけてのキリスト教の影響を十分に教えておかなければ、わからないことも多い。聖職者は、妻帯が禁じられていたので、跡取りは生まれない。故に封建諸侯の次男や三男が供給源だった。封建領主=貴族と聖職者は同じ穴のムジナなのだ。このことがわからないと、フランス革命の三部会の第一身分(聖職者)、第二身分(貴族)がわかからない。歴史であるから、当然繋がってくるわけだ。
今日は、中世までで終わった。(今日の画像は、カノッサの屈辱:教皇権と世俗権力の二重構造とそのバランスも中世の歴史そのものである。当然教えた。)来週は近世のルネサンス、大航海時代、宗教改革をやって、イギリスのヘンリー8世の話になる。スペインに代わって、エリザベス1世からイギリスの時代が始まる。ピューリタン革命は、彼女の死後である。この辺から歴史は大きく動いていく。
こういう大局観から見た世界史学習は、近現代史を読み解くための世界史を教える総合科目の歴史分野としては意外に重要だと思う。
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