今回は、ヒトラーの十八番(おはこ)であるユダヤ国際金融資本への批判の話。これが実際のところ真実だったのかどうか、である。フランクフルトのロスチャイルド家のことは、後年広瀬隆の「赤い盾」を完読した(広瀬隆の本は内容は興味深いが、極めて読みにくい文章である。今でもよく完読したと思う。)ので割愛するとして、ベルリンには、メンデルスゾーン家も数か国にまたがる金融網をしいていた。特にロシアの工業開発に大きく投資していた。(WWⅠ前のロシアの工業投資は9割が外国資本だった。)ロスチャイルドのロンドン駐在員だったサミュエル・ブライクローダーは自立してドイツで銀行を始めた。息子はビスマルクの信任を得て普墺戦争の軍資金を賄った。ハンブルグのヴァーブルグ家の三兄弟は、ドイツの海外貿易、特に英米との為替業務で伸びたユダヤ資本。この本が書かれた1978年現在の三大銀行、ドイツ銀行、ドレスナー銀行、コメルツ銀行は全てユダヤ資本であり、当時から証券業務も行っていたドイツの金融資本は、株式や社債面で大企業も中小企業を牛耳っていたという。WWⅠ後のドイツ銀行、ライヒスバンク、ドレスナー銀行、ダナート銀行、プロイセン不動産銀行などの大銀行はほとんど全てといってよいほどユダヤ資本が支配していた。これは事実。敗戦後、エーベルト政権はこのユダヤ資本の代弁者となり異常にして衝撃的なほど多くのユダヤ人を政府内に入れた。これも事実。
フランスとベルギーのルール占領で、マルクが大暴落するが、これは製鉄用コークスの4/5を失った衝撃で、ドイツの将来に希望を失ったユダヤ系国際資本がドイツを見捨てたことを意味している。これは経済法則から見ても自然現象であったことは否定できないが、暴落の仕方が異常であり、国際金融資本のマルク売りの人為的な操作があったことは疑う余地がない、と大森実は書いている。中小のユダヤ系高利貸しもドイツ経済の先行きを危険とみて、抵当物件(工場や不動産)を手に入れようとたし、大資本は安定したドルやポンドを買いあさり、国外の安全圏に資金を逃避させてマルクをダンピングした。
…と、いうわけで、WWⅠ後のドイツ経済は、大きく揺れ動くが、ユダヤ資本が儲けたという批判は決して、事実を捻じ曲げたウソてはいないわけだ。
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