2015年5月16日土曜日

「アジアにこぼれた涙」を読む。2

AMDAジャーナルの難民キャンプ画像
http://amda.or.jp/journal/?work_id=553
先日「アジアにこぼれた涙」を読み終えた。あとがきを読んで驚いたのだが、このノンフィクションは、およそ10年前に書かれたもので、バックパッカーの月刊誌だった「旅行人」(ちょうど連載された頃、季刊誌になった。)に連載されていたのだという。私も「旅行人」が月刊の頃愛読していたが、季刊誌になってからはあまり読まなくなったのだ。改めて、しまった、と思ったのだった。

前回のエントリーで、目次から3つだけ紹介したが、残りのものも紹介しておこうと思う。
イメルダが私に願ったこと
クリシュナと<長髪>の花園
歓楽街の注射器娘
はかない夢
誰がために鐘は鳴る
砂漠に消えた少年
白浜で踊る

こうしてタイトルを書くだけで、その濃厚なノンフィクションの内容が脳裏に浮かんでくる。あまり詳しく紹介するのは、悪趣味だと思うのだが、今回はこの中で最も印象に残った「誰がために鐘は鳴る」について少し書いておきたいと思う。これは、ブータンのネパール難民の話である。ブータンは、国民総幸福の概念を提示したりして、世界的に好感をもたれているが、1990年に前国王がネパール系住民を国外追放したことはあまり知られていない。私も耳にしたことはあるが、詳しく調べたのは初めてだった。本書でレポートされている時点では、このブータンからのネパール人難民キャンプは先行きがかなり見えない状況で衝撃的だが、その後アメリカ、オーストラリア、カナダ、デンマークなどへの第三国への移住が世界最大規模で進んでいた。職業訓練を行いながらの定住プログラムである。ブータンとネパールの貧困の”ハザマ”で先が見えなかった状況が、最善の方策ではないもののUNHCRの貢献で改善されていることはたしかなようである。
http://www.japanforunhcr.org/act/a_asia_nepal_01.html

…ブータンのネパール難民、WEBで少しばかり調べてもよくわからない部分が多い。正義などというものは、そう簡単に規定できるものではない。じっくり考えていかなくては。

0 件のコメント:

コメントを投稿