2014年2月20日木曜日

経済は世界史から学べを読む。

日経の広告で、「経済は世界史から学べ!」(茂木誠著・ダイヤモンド社/昨年11月21日第1刷)という本の存在を知った。昨日、帰路に書店でさっそく購入した。
著者は予備校の世界史の先生であるという不思議な本だ。決して専門書ではないが、教科書くさくもない。解説は極力専門用語を使わず社会科が苦手な高校生が読んでも非常にわかりやすいと思うし、構成自体も面白い。
世界史や政治経済の授業のネタ本としてこれから大いに役立つのは間違いない。と、言うわけで早くも2/3くらい読んでしまった。(笑)

第1章はお金(1)。円、ドル、ユーロの成り立ちについて。
第2章もお金(2)。世界経済と国際通貨の話。
第3章は貿易。経済の自由化の話。
第4章は金融。投資とバブルの話。
第5章は財政。国家とお金の話。

もちろん知っている話も多いのだが、そういういくつもの話が、体系的に整理されてひとつの流れが見えてくるところが面白いと思う。あまり内容をバラすのは良くないと思うが、1つだけ紹介しておきたい。
ギリシア危機の話である。ギリシアがEUに加盟し、ユーロ導入に際して財政状況が審査された。政府が抱える累積債務がGDPの60%以内という加盟基準があるからである。ギリシアはこの基準をクリアしていたはずなのだが、粉飾(デタラメ)だったことがあとでバレるのである。ギリシアは、中世にはビザンツ帝国、近代にはオスマン帝国という専制官僚国家の支配を受け、勤労を美徳とする市民階級は生まれなかった。19世紀に黒海の出口という戦略価値に着目したイギリスのおかげで独立。第二次世界大戦後は、ソ連の防壁としてアメリカが支援。常に「おんぶにだっこ」だった国なのである。

…なるほど。そう指摘されれば、人口の20%を占める肥大化した官僚機構も、公務員労組と結託してバラマキ福祉を続けた左派政権も、勤労よりも余暇を楽しみ脱税のための所得隠しが常態化している国民も、粉飾決算のごまかしも大いに理解できるところだ。

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