今朝の日経朝刊の本社コラムニスト土谷英夫氏の書いた「核心」はなかなか面白かった。概要を伝えたい。
村上春樹の世界的ベストセラー『IQ84』(私は村上春樹は、ノルウェイの森以来読んでいない。)の中国語版が、北京の書店で平積みされていたのに一時姿を消したそうだ。この小説の下敷きは、英国作家・ジョージ・オーウェルの『1984年』である。その小説の中で設定された国では、テレスクリーンと呼ばれる装置が各家庭にあり、常時「党」の宣伝を流す一方、十人の言動を監視する。「党」の最高指導者は、ビッグ・ブラザー。中国語風に直訳すれば「大兄」になる。
中国のネット人口は、5億人を超えているという。多くがミニ・ブログの『微博』(ウェイボ)を利用しているらしい。当局がほうどうを抑え、ネットを検閲し、集会やデモの呼びかけを封印する姿は、「1984年」を彷彿とさせる。
…土谷氏は、いつまでも中国がこんなことをやっている場合ではないという意味で、こんな話を出している。1820年台、清の乾隆帝の頃、中国のGDPは世界の1/3を占めていた。もし、あの頃西洋の科学技術を取り入れ産業革命に取り組んでいたら世界史はかなり変わったはずである。中国が公表しなくなったデータが2つある。ひとつは、ジニ計数(国内の経済格差をはかる:1が最大値)がある。改革開放初期には0.3であったものが、現在は0.5ほどに悪化したと推測されている。これは、中南米やアフリカ諸国並みである。もう1つは、集団抗議行動の統計で、03年にはおよそ6万件、05年では8.7万件。最近の非公式推計では18万件となっている。
中国の人口のは、この2015年で最高値となり後は下り坂になる。様々な経済的問題を克服するには、現在の統治機構そのもの(中国共産党の一党独裁)の改革が必要だと西側のエコノミストは見ている。最後にギリシアのペリクレスの言葉を引いて、民主化の普遍性を訴えている。
…書かれている順序を私なりに再構成してあるが、概ねこういう内容である。IQ84の下敷きが「1984年」だったとは知らなかった。(読んでないのだから当然であるが…。)この辺のくだりは実に面白い。たしかに、そろそろ中国も変化しないと大変なことになるのかもしれない。でも、それはそれで大丈夫なんだろうか。リビアやエジプトが民主化後、混乱しているのとはるかにスケールが違う。うーんとまた唸ってしまうのである。だがもう「大兄」に頼ってばかりの時代ではないということか。
2012年10月22日月曜日
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