2010年4月3日土曜日

Lost Symbol ロスト一般教養


ダン・ブラウンの小説は、うちの愚妻が大ファンで、「ダ・ヴィンチ・コード」・「天使と悪魔」と出るたびに買っては読み、している。(私も毎回おこぼれにあづかることになっている。今朝完読した。)今回の「ロスト・シンボル」も同様である。ダン・ブラウンは、構成がうまいというのが、我が家の結論で、今回も十分面白かった。次回作の舞台は、愚妻はチベット、私はエレサレムであると主張し、両者譲らないままである。なぜ我が家でうけるかと言うと、この3作品とも、極めて宗教学的な素養を主題にしているからである。我が家は、こんな本が大好きな一家である。(笑)
 
 本来の刊行順では、バチカンを舞台にした「天使と悪魔」、さらにイエスの末裔を主題にした、「ダ・ヴィンチ・コード」と、共にヨーロッパの歴史とキリスト教的教養をかなり要求される極めて知的な小説でなのである。今回の「ロスト・シンボル」は、ワシントンD.C.が舞台であり、フリーメーソンが題材である。フリーメーソンは、かなり謎の多い団体であるが、ダン・ブラウンは好意的に書いている。フリーメーソンは、宗教的な問題は重視するが、特定の宗教を中心に置かないので、アメリカ史を含めて、欧米的な文明と宗教的教養、それに今回は世界的な(欧米外の)宗教的教養も含まれるのである。
 
 とにかく、このような欧米『文明』の、知的探索を主題にした小説を読むためには、かなりの一般教養が必要となる。教養なしに読んで、興味を持ち新たな読書欲を持つのも良しである。生徒にも勧めたいが…。

 日本では、このような欧米人が普通見につけている教養を、異文化圏でもあるし全くと言ってよいほど見に着けていないのが現状である。私は、少なくとも基礎的なことぐらいは知ってないといけないと思っている。ユダヤ・キリスト教的伝統。創世記やアブラハムとイサクの話も知らず、欧米で信頼関係は築けないのではないか。ギリシア・ローマの神話や哲学の素養も極めて重要である。私の職員室の机上に、アメリカの小学生の教科書がある。(もちろん半分日本語である)このあたりのヘレニズム・ヘブライズム的素養は、我々日本で言うところの信長・秀吉・家康級の常識である。当然、自文化理解の必要性を私も痛感するので、日本では小学生から教える必要はないが、高校・大学では、一般教養として得るべきだと思うのである。
 
 以前何かの本で、イギリス人の知的エリートは、大学で、ギリシア・ローマとラテン語をやり、実学は修士で学ぶとあった。うちのイングランド人のALTに聞いたら、「オフコース」と言われた。「だから私はホンモノなのだ。」と胸をはったことがある。(3月5日付私のブログの、アイスコーヒーを否定するL先生の言である。面白すぎる奴なのでちょっと信用できないが…。)
 なんか、また昨日のブログで書いた「反3回生就活論」の続きになるが、日本の教育システムは、うすっぺらいのである。自分で教養を高めるよう頑張るしかないのである。ガンバレ!教え子たち。

2 件のコメント:

  1. シューカツについて一生懸命コメントしようと思ったのですが、書いている途中でエントリよりも長くなりそうだと思ったのでやめましたw
    とにかく学生がシューカツに払うコストは莫大です。しかし就活さえもまともにやってない上の世代は悲惨じゃないかと思います。シューカツも一生懸命やれば成長できるみたいです。私はサラリーマンになるためにそこまでしなくても、と思う派なのでほとんどやってませんが。

    ダン・ブラウン無視してすいません。高校生の時に『ダ・ヴィンチ・コード』は読みました。当時でも面白かったですが、今読んだらまた違った面白さがあると思います。最近の小説は『数学的にありえない』がかなり良かったです。最新物理学や数学理論がわかった気になれますw

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  2. 私は、3回生から就活というシステムが、学生に与える影響を批判しとります。学生自身が、もっとやるべきことがあると思いますねえ。哲平さんも、そういう派だからこそ、我がブログの読者なのだと思います。(笑)しかし…勝手なこと言いやがってと、怒る学生もいるでしょうねえ。変な世の中になってしまいました。学生が本当にかわいそうです。

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