2010年4月6日火曜日

Africa ガバナンスの善し悪し


このところ毎日新聞の国際欄に、ジンバブエやスーダンのニュースが大きく取り上げられていた。新聞は、その日のニュース量で扱いが変わるものだが、アフリカを常に注目している私としてはありがたい。ジンバブエのニュースは、ハイパーインフレがようやく収まりかけているとはいえ、食糧不足と失業(なんと9割)という難題を抱えた中、ムガベ大統領が、次の大統領選にまだしつこく出馬するとのこと。まさにアホちゃうかといったところ。スーダンの方は、反政府勢力が、大統領選をボイコットするとのニュースである。スーダンのバジル大統領は、ダルフール問題で、人道に対する罪で国際刑事裁判所から逮捕状が出ている人物。やれやれである。またNHKニュースでは、セネガルの大統領が思いつきで立てた独立50周年の銅像(自由の女神より5m高い北朝鮮製)が完成し、入場料の35%が大統領のものとなるという。反対のデモが押し寄せ、「無駄遣いだ。この費用(25億円)で病院が10立つ。」と気勢をあげているという内容をやっていた。

と、いうわけで日曜日のNHK特集の話である。「アフリカンドリーム」の第1回。”ルワンダの奇跡”をブログ上で再録したい。

この画像は、ルワンダの首都キガリの写真である。NHKのHPから引用させてもらった。今、ルワンダは例の94年の大虐殺を乗り越えて、驚異的な経済発展を遂げている。その原因は、やはり”ツチ人”と”フツ人”の対立と調和にあった。そもそもベルギーが植民地時代、言語も同じだった人々を、鼻筋が通っているから優秀と見なされた少数の支配階級の”ツチ”とそれ以外の多数派”フツ”に分断した。独立後、長年の恨みがフツによるツチへの大虐殺という形で現れた。この時、あるいはこれ以前に欧米に出て行った”ツチ”の人々がいる。彼らはユダヤ人の「離散」の言葉を借りて『デイアスポラ』と呼ばれている。欧米で教育を受け、様々なスキルを身につけ、資金を持つ彼らは、国を建て直すために祖国に帰って生きたのである。その数100万人。ルワンダ全体で1000万だから、かなりの比率である。現在のカガメ大統領もディアスポラの1人である。大統領もディアスポラへの税の優遇を進め帰国を応援してきた。「アフリカ1」の彼らは、祖国に資本を蓄積し、消費し、様々なスキルを元にビジネスを起業し、国家再建を果たそうとしているのである。
だがここで、問題がある。”フツ”の人々との問題だ。政府は、いち早くIDカードから”ツチ”と”フツ”の記載を無くし、国民国家としようとしている。(私はこれは凄いと思った。)ディアスポラの帰国で、資本が蓄積され、様々なビジネスが起業され、首都は繁栄に突き進んでいる。しかし、多くの”フツ”の人々は、地方の農村で「アフリカ3」として暮らしている。この格差をいかに止揚するかが、ルワンダという国の将来を決めるといっても過言ではない。互いの不信感は極めて大きい。番組の後半は、”フツ”のコーヒーを生産する南部の村に、”ツチ”のビジネスマンが、コーヒー工場をつくり、輸出も手掛けるという共生のビジネスを持ちかけるケースを紹介している。結局、利益の配分は、50:50で契約したのである。(これは考えられないほどの農家の利益率である。)”ツチ”のビジネスマンは、虐殺で”フツ”に殺された母の言葉を大切にしてきた。「”ツチ”と”フツ”は必ず一緒に生きられる。何故なら私たちは同じルワンダ人なのだから。」…”フツ”の人々を少しずつ「アフリカ2」にしていく、この戦略。私は感激した。

いい番組だった。思わずメモを取りながら番組を見てしまった。(現在、我が家はビデオもDVDも使用できないのであった。)
今のアフリカは、まさに『ガバナンス』の善し悪しが、幸福度を左右するのである。こうしてみると、ポール・コリアーの提案(1月28日付:デモクレイジー/民主主義がアフリカ経済を殺す参照)は具体性をもって迫ってくると私は思うのだが…。

2 件のコメント:

  1. フランシス・フクヤマも最近はガバナンスの研究に力を入れていて、我が大学でも講演がありました。これはとんでもなく凄いことです。友達とは日本の総理の講演会の100倍は凄いということでコンセンサスがとれましたw
    2年前はほとんど理解できなかったので早く追いつきたいです。

    余談ですが内定頂きました。某リクR社がつくった道を進みたくなかったので、このご時世にコネでシューカツしました。アグリベンチャーと言えば聞こえがいいですが、果物屋さんです。私はそこで農業プロジェクトと海外展開をプッシュしていかなければなりません。いつかアフリカまで店を出せたらと思っています。

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  2. 凄いなあ、哲平さん、オメデトウ!「農業プロジェクトと海外展開をプッシュしていかなければなりません。いつかアフリカまで店を出せたらと思っています。」素晴らしい。面白いやりがいのある仕事だと思います。やがて「アフリカ3」が、「アフリカ2」に絶対なっていきます。まだまだ荒野ですが、アフリカのビジネスは将来性に富んでいると思いますよ。

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