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まずは、ユダヤ教の聖書はヘブライ語の聖書であること。キリスト教の旧約聖書は、ギリシア語に翻訳された「七十人訳聖書」であること。1世紀末にユダヤ教知識人が「ヤムニア会議」で、ヘブライ語で書かれた39の文書で構成されると決定した。これがユダヤ教とキリスト教の分裂の時期である。キリスト教の旧約聖書(=七十人訳聖書)には、それ以前の文書(外典:トビト記や知恵の書など)も含まれている。但し、キリスト教内でもカトリックやオーソドックス、聖公会、プロテスタント各派で含まれ方に違いがある。
「出エジプト」によって、ユダヤ教が成立するが、同時に同じ神を信仰する集団としてのユダヤ民族が成立する。その後、長い荒野の放浪を経て、カナンの地の先住民を征服するのだが、先住民を平等に扱うことを基本とした。ここで生まれたのが十二部族で、それぞれ自治を行いながら部族連合を形成する。ヨシュア記によれば、カナンの全住民をシケムという地に集めヤハウェを信仰することを確認する。この時のヨシュアの演説では、全員がエジプトから逃れてきたように述べられているが、征服者も先住者も平等であることを宣言したと考えるべきだと著者は記している。
協力な敵が現れたときは、「士師」(しし)という臨時の将軍を選び戦うことも決められた。この十二部族は、平等という原則ながらも、南の二部族(ユダ・ベンヤミン:出エジプト者)と北の十部族(ルペン・シメオンなど:先住民)+支配地を持たない祭司職・レビ族に区分されていた。やがて、強大な敵に対し王国を形成し、協力な支配者を得る必要性に迫られる。士師の時代にアビメレクという実力者が登場するが家柄が良くないということで、サムエルという預言者(王国の政治顧問のような役割)が、ベンヤミン族のサウルを王とし、「頭に油を注がれ」最初の王となった。しかし王国建設はうまくいかず、血縁のないダビデが「イスラエル統一王国」(後のイスラエル王国と区別する為こう呼ぶ)を築く。さらにその子ソロモンが継ぐのである。ここで重要なことは、ダビデの子孫が王となることが決まるが、最初の王はダビデとは血縁がない。聖書には、常識的なことがひっくり返るようなことが書かれていると著者は分析している。
さて、この、頭に油を注がれた者=王というのが、ヘブライ語のメシアであり、ギリシア語ではクリストスである。日本語ではキリストとなるが、救世主と訳すより、ダビデ王朝の王、イスラエル民族の政治的軍事的指導者と言ったほうが適している、とのこと。また王は神の子とされ、権力が保証されていた。…つづく。
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