2023年11月8日水曜日

使徒言行録 ユダ

使徒言行録のエントリーの続きである。中村うさぎは、ユダを愛ゆえにイエスを裏切ったのではないかと贔屓目に見ている。それに対して佐藤優は、ユダが望んでいたのは超能力による革命で神の国が実現すると思っていたのに、イエスは殺されてしまったという斬新な説を唱える。

使徒言行録では、ペテロにより、ユダの顛末ついて、ダビデの預言が聖書に書かれている。この預言が実現した。ユダは不正の報酬で土地を買ったが、その土地から落ち、体が裂け、はらわたがみんな出た。この土地は血の土地と呼ばれた。と語られている。マタイによる福音書では、得た銀貨を神殿に投げ込み、首をつったことになっている。使徒言行録は、ルカによるとされているので、ルカのほうがマタイより手厳しい。

危機神学で有名なバルトは、「教会教義学」の「選ばれざる者に関する研究」の中で、ユダについて記している。神と悪魔は非常に近いところにいる、人間は性悪な存在で悪の要素を必ず持っている。だからユダはかけ離れた存在ではなく、結論的に言えばユダは我々自身であり、ペテロもユダも一緒、ユダを知らずしてキリストを知ることは出来ない、ユダもまた選ばれた使徒であるとしているそうだ。

ペトロの教団の話の後に、いよいよパウロが登場する。ステファノの殉教における弾圧者としての登場である。ところで、パウロはギリシア語名。ヘブライ語ではサウロ。アラム語ではサウル。佐藤優によれば、パウロは勝ち組で、以後の内容はパウロを主体に書かれているとのこと。

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