2020年12月15日火曜日

書評 世界を動かすイスラエルⅡ

https://www.jpost.com/diaspora/for-evangelical-leader-trump-now-like-cyrus-517266
閑話休題。「世界を動かすイスラエル」の書評、その2である。以前トランプがイェルサレムに米大使館を置くという危ない決定をした事について、毎年議会でこの決議がなされていたようであり、1995年共和党・民主党が賛同して「アメリカ大使館のイェルサレム移転法」が出来たが、大統領に移転の実施期間を先送りする権限を与えるという修正が加えられていたようだ。トランプはこれを実行したわけだ。(パレスチナ人や周辺のアラブ諸国にとっては、極めて不愉快な話だったと思う。あれ以後、さらに中東情勢は変化しているが、それはまた別の機会に。)

この法案を熱心なロビー活動で実現したのは、言うまでもなく福音派(Evangelical)である。彼らは聖書の教えを厳格に守りイスラエル支援を信仰の柱に掲げる。19世紀にイギリスで発祥し、20世紀アメリカで広まり、アメリカ人の4人に1人が福音派である。

彼らは「神の奇跡」が2度起こったと信じている。1つ目は1948年の第一次中東戦争で劣勢を跳ねのけてのイスラエル建国である。彼らの終末観では、イエス=キリストがイェルサレムに再臨する、その時ここはユダヤ人がその地を支配していると聖書に記されているとあるからだ。2つ目は1967年の第三次中東戦争で、イエスが再臨する東イェルサレムを占領、加えて史跡の多いヨルダン川西岸を占領した。これも神の予言通りだと受け止めている。だいぶ前にエントリーしたことがあるが、福音派はユダヤ人にイエスを救世主として認めさせること=改宗させることを念願している。よって、イスラエルが滅亡することを避けるため支援するわけだ。

さて、この本には実に面白い記述があった。福音派のイェルサレム・ツアーの話が書かれていて、かのイエスが十字架を背負って歩いた道=「悲しみの道(ビアドロローサ)」の最終地点で、聖墳墓協会に行かず、旧市街から出てさらに北に300m「園の墓」という塀で囲まれた場所にただりついた。ここが彼らが信じるゴルゴダの丘(十字架刑に処せられた場所)だという。彼らは、言う。衛生面からも処刑場は旧市街の外にあると考えるのが科学的だし自然だ。ここには、マグダラのマリアがイエスの復活に出会った洞窟もあるそうな。(画像参照)イェルサレムに行ったとき、聖墳墓協会は行ったが、ここには行ってない。初めて知った次第。

園の墓 https://www.pinterest.at/pin/350225308517981160/
…キリスト教の、特にプロテスタントの構造を知り、各宗派の違いを認識するのはブディストの私には、実に難しい。これまでかなり関連書を読んだが、まだまだよくわからないことが多い。この福音派についても、同様だ。

…今回のアメリカ大統領選挙については、福音派は岩盤的にトランプ支持を打ち出している。アーミッシュと言い、キリスト者の一部は、彼を救世主扱いしており、中国共産党、民主党、ディープステイトを悪魔教の信者だという主張もある。マルクスも悪魔教徒だという報道もあった。こういい都市伝説的な話には、ついていけない私であるのだが…。

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