2018年9月30日日曜日

L君、中央アフリカ共和国へ

http://www.msf.or.jp/news/detail/images/20140408_v01_01.jpg
国境なき医師団のスタッフであるL君(今月27日のブログ参照)から、今朝メールが届いた。来週の金曜日に、中央アフリカ共和国の首都バンギに赴任する予定だという。

中央アフリカ共和国は、2016年度のHDI(人間開発指数)で188位/188位という、後発開発途上国中の後発開発途上国である。独立以後、政情不安定で、紛争の罠・内陸国の罠に完全に落ち込み、森林資源くらいしかないこともあって、完全に世界から忘れ去られた国の1つである。
日本のODAは、その基本ポリシーに従い、他のアフリカ国に対しても円借款が中心なのだが、中央アフリカ共和国には無理なので、民主化プロセスで大統領が誕生して以来、無償資金協力を再開している。このことは、中央アフリカ共和国の前途が今なお決して明るくないことを示している。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/000367699.pdf#page=440

一方で、イスラム勢力(セレカ)とキリスト教勢力(反バカラ)の激しい宗教対立が、たびたび報道されてきた。AFPの専門家からは、これはガバナンスの悪さによる政治家の仕掛けた対立で、本来はエスニックグループを基盤とした経済格差から来ていると主張している。近年はダイヤモンドも採掘できるようだが、これが資源の罠から紛争の罠へと展開しており、悪いガバナンスと重なり、まさにポールコリア-のテキスト通り最悪のパターンを踏んでいる。

いずれにせよ、極めて治安が悪い国であることは事実だ。L君は、メールの文面の中で、その困難さを楽しんでいこうと考えているようだ。凄いな。教え子の成長を実に頼もしく思うとともに、改めて無事を祈らずにはおれない。
2014年にMSFはセレカの襲撃を受けている。老婆心ながら、L君には、イスラムのシャハーダ(信仰告白)くらいは、アラビア語ですぐ言えるように準備しておくことを忠告しておいた次第。

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