2018年9月13日木曜日

ダライラマの欧州難民論

https://www.el-aura.com
/201210210/
ダライラマが、スウェーデンのマルメでの法話で、欧州移民問題についてふれている。スウェーデンは、(2015年現在で)亡命希望者数を人口で割った比率が欧州で最高になった国である。

ダライラマは、欧州には「現に命の危険にさらされている難民」を支援する「道義的責任」があるとして、「受け入れ、助け、教育しなさい。」としながらも、一方難民らは、「最終的には母国を発展させなければならない。」と説いた。さらに「欧州は欧州人のものだと思う。」「欧州人は、難民に対し、いずれは母国を再建しなければならないと明言すべきだ。」と述べた。
http://www.afpbb.com/articles/-/3189523?cx_part=top_latest

ダライラマの置かれている立場を考えると、当然ながら母国チベットの難民のスタンスとオーバーラップする。この言は薄っぺらいナショナリズムではない。難民化しているのは異常な事態であり、帝国主義を経験した欧州先進国は道義的にそれら難民の人々を救う義務はあるけれど、難民はいずれ母国の再建のために力を蓄え戻らなくてはならない。欧州は仮の場所であり、自分の母国に戻ることが必然だと言っているわけだ。

「欧州は欧州人のものだと思う。」このコトバだけを切り取っては、ダライラマの言うとことは理解できないだろう。彼は現在進行形の欧州の右傾化を支持しているわけではない。WW1後の「民族自決」の概念を再構築しようとしているように私は見える。本来の自然な民族自決(これは、有色人種の民族自決も当然ながら含まれる。)こそ、様々な問題解決のキーワードではないか?というわけだ。チベットの置かれている立場を理解しないと「欧州は欧州人のものだと思う。」というコトバはわからない。この言の裏に「チベットはチベット人のものだと思う。」という真意があるだろうし、「母国の再建のために力を蓄えよ」というチベット難民を含むあらゆる難民へのメッセージなのだと思われる。

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