https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-31425420080421 |
10月7日付ブログで紹介した「国債の歴史」という大著を元に教材を作った。この大著、ありがたいことに、総論と、各章の冒頭にも総論的な内容が書かれていて、全巻読破しなくてもおよその論旨を学ぶことが出来る。もちろん、各章の詳細も面白いのでつまみ読みしながら教材を作ったわけだ。
前回のエントリーで紹介したように、民主主義を最も早く完成させたイギリスで国債が発達する。当時は、夜警国家であるから、戦費を賄うためである。(これも重要な復習事項である。)恒久的な新税を議会が設定して、それを担保に国債を発行する。この例が、アメリカ独立戦争のボストン茶器事件の茶税や後の印紙税である。(これも当然復習事項である。)こういう大局から見ると、細かな事項が繋がっていく。単なる復習ではなく、これが社会科学の面白いところだということをマレーシアの学生諸君に伝えたいと私は思う。
フランスはまだ絶対主義で、デフォルトを繰り返していた関係で、国債はイギリスのようにうまくいかない。なんと金利80%である。革命を経て、ナポレオンが金利を下げるのに苦労したことを伝える。このあたりで、国債のリスクプレミアムについて語り、日本の国債デビュー時は、金利が9%。それが、日露戦争前は4%にまで下がる。その理由も重要だ。日清戦争後に日本も参加した金本位制は、国債を有利に集めるための手段でもあったわけだ。(当然これも復習事項。)学生諸君は、興味深く聞いてくれた。
WWⅠの総力戦での戦費の増大、国民国家が国債の限度を遙かに超えてしまったことも述べる。社会構造が夜警国家から福祉国家に移らざるをえなくなったことも論じると、みんな納得である。そして、最後はアベノミクスの解説である。政策金利を低く抑え、量的緩和を行うことなど、経済の復習を行う。インフレによる国債の実質的な価値の低下、円安による同じく価値の低下なども語り、フィニッシュ。
みんな、一応に喜んでくれたのだった。まあ、高校レベルの社会科をちょっと越えたかもしれない。
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