2016年6月5日日曜日

中田・橋爪「クルアーンを読む」3

イスラム美術館の展示より
いよいよ、明日からラマダン(断食月)である。タマンデサのフードコート前・夜店の場所にはすでにテントが張られている。マレー人の生徒によるとラマダン中は毎日夜店が開かれるそうだ。そのラマダン中に、クルアーンを読み終えるとのこと。だいたい1/30ずつ、毎日1時間くらいかかるらしい。で、他の本で、クルアーンには、メッカ文書とメディナ文書(啓示された場所による分類)があることは知っていたが、クルアーンの章立てというか順番は、啓示順ではない。その辺の話を中田氏が語りだされる。今日は、第2章のそのあたりからエントリーしたい。

最初に下された章は、第96章の「アラク(凝血)」である。天使が降りてきて「イクラッ(読め)」と言われた。

読め、おまえの主の御名において、(森羅万象を)創造し給うた(主の御名において、)(つまり)彼は人間を凝血から創造し給うた。
読め。そしておまえの主は最も気前よき御方であり、
筆によって(書くことを)教え給うた御方であり、
(つまり)人間に彼(人間)の知らなかったことを教え給うた(御方である)。

橋爪氏が、啓示された順番が何故わかるのかを尋ねると、中田氏は「ハディース(ムハンマドの言行録)によっている。ただし、こういう順番だったとまとめたものがひとつのハディースにあるわけではない。いろいろ総合していくとこういう順番になるということなので、若干意見が分かれているところもある。」とのこと。

さらに、クルアーンの並べ方というか順番の決め方にも質問がおよぶ。これに対して、天使ジブリール(キリスト教では大天使ガブリエル)とムハンマドがクルアーンの読み合わせをして、ここはこういうふうにしなさい(これを最初におきなさい、これはここにおきなさい、というふうに)、とジブリールから預言者が聞いた、という伝承が残っている。指示通りに預言者が読んで、うん、これでいい、と確認した、という感じらしい。

このジブリールは啓示の担当の天使で、基本的には全ての預言者はこのジブリールを通じて啓示を受ける。

クルアーンのなかに出てくる預言者には尊称があって、イエスは「ルーフッラー」(神の霊)、モーセには「カリーム」(神によって直接語りかけられた者)。イスラムでは、イエスよりモーセのほうが(神が直接啓示したが故に)上の預言者なのである。さらにモーセの上に位置するのが、イブラヒーム(アブラハム)である。

実に、面白いではないか。預言者の中で、ムハンマドは最後の預言者で最上位なのは当たり前だが、ムハンマドは、直接神の啓示を受けることもあるけれど、基本的にクルアーンはジブリール経由である。

次に、クルアーンとアッラー・ジブリールと、ウンム・アル=キターブ(書物の母)などに対する存在論的な対話が始まる。うーん、ここはエントリーするには難解に過ぎる箇所かもしれない。で、割愛。その結論だけ、記しておこうと思う。それは、クルアーンがここに1冊あるとすると、大部分は(神の)被造物だけれど、中核部分は被造物ではない。クルアーンだけがそういう属性を持っているということになるのだった。

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