沢木耕太郎 「246」を読み終えた。一気に読むのがもったいないほどの面白さであった。この「246」という作品は、1986年の1月から9月の沢木耕太郎の私生活が書かれている。「深夜特急」が第2巻まで出版され、「馬車は走る」が出来あがり、「血の味」が少しずつ書かれ始め、「キャパ」の翻訳が開始されている。重要な沢木耕太郎の作品がどんどん出てくる。同時に、書こうと思っていたことをあきらめる話も多かった。
そして、時折挿入されてくる3歳前の娘との、寝る前のお話。最初は奇異な感じがしたが、なかなか面白い。途中で、彼女が生まれてすぐ外国に出たことが明かされる。最もかわいい時を知らずにいたことへの反省から、時間のある時は彼女と過ごすことになるのだ。
今回のエントリーで特に書いておきたいのは、深夜特急への出発時に「$100札」をもらう話だ。パスポートに偲ばせ、結局使わなかったのだが、旅のお守りのようになり、$100以上の価値をもったという逸話である。私も深夜特急でこれを読み、なんとかっこいい餞別なんだろうと思ったのだ。その贈った人が明かされていた。文芸春秋社の松浦氏という編集者であった。沢木耕太郎は、松浦氏の高校2年生になる息子に、出来上がった深夜特急を贈呈する。息子は野球とザックをかついでの一人旅に熱中していると聞いたからだ。これもまた、いい話だ。
今まで、何度か留学する教え子に餞別を渡してきた。できれば、その国の通貨で贈りたいと思って阿倍野まで両替に行ったこともある。と、いっても$100も出せないので、両替するだけもったいないのだが…。(笑)
最後に、沢木耕太郎の話に出てくる本や映画のパンフレットのカラーの挿画が素晴らしいということもつけ加えておきたい。(本日の画像参照)
2014年11月21日金曜日
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