ASC HPから http://www.asc.com.au/ |
毎日新聞に、先日エントリーした(11日付ブログ参照)日本とオーストラリアの潜水艦の話が載っていた。視点は日経とは全く違う。オーストラリアの雇用問題といった趣である。日本の「そうりゅう型」潜水艦を12隻導入すると総額数兆円にのぼるプロジェクトなのだという。アデレードにある国営の潜水艦企業(ASC)では、早くも雇用が失われるとの心配の声が出ている。
以前、アデレードには、三菱自動車の生産拠点があったらしい。2008年に操業を停止した。理由は、賃金上昇である。オーストラリアの労働者賃金はアメリカのように週給制らしいが、時給にすると最低賃金は1700円。東南アジアに押されて二次産業の国際競争力を失ったわけだ。GMやトヨタも生産拠点を移すらしい。このASCは、そういった中にあって、三菱自動車の工場から労働者の受け皿になったという。
まだ、どういう方法で日本の潜水艦を建造するのか決まっていない。日本で製造するのがオーストラリア軍にとっては理想だろうが、アデレードに数百人規模で日本人技術者が来てくれないものかと市長は期待している。技術の機密の問題や、ASCの技術力への不安(オーストラリアの国防相の発言)など論義が過熱しているらしい。
…国民国家と経済のグローバル化のコンフリクトの実態を教える上で、格好の教材ではあるが、実際問題、アデレードの人々だけの問題ではなく、こういう産業の空洞化は先進国でも経済格差問題を生んでいるわけで、やはりうーんと唸らざるを得ない。
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