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エリザベスは、旧約聖書でモーセの兄弟アロンの妻エリザベト(Elisabeth)として登場する。。新約聖書では、洗礼者ヨハネ(3月30日付ブログ参照)の母として登場。ルカの福音書に、旧約のアロンの子孫で歳をとっても子宝の恵まれない彼女に、天使ガブリエルが妊娠することを告げ、ヨハネという名前をつけること、その子はエリア(旧約に出てくる預言者)の霊と力で主のために先立って生まれ、整えられた民を準備するだろうと告げたとある。またエリザベトの従姉妹が、その6ヵ月後に受胎告知をうけたマリアである。マリアが訪ねてきた時、互いに妊婦なのだが、エリザベスのお腹の中にいるヨハネが、エリザベスの口を借りて、マリアに「あなたは女の中で祝福された方、胎内のお子様も祝福されています。(後略)」と聖霊に満ちた声で言った、とある。だから、マリアとエリザベスは、女性名の中でも最も祝福された名前だといえるわけだ。
ちなみにエリザベト(Elisabeth)の「EL」は、カナン神話では神を表す語、ヘブライ語の用法では、力や強さという意味を持っていたとのこと。ユダヤ人が挨拶や別れの言葉で使うシャローム(Shalom)の原義が「平和」なのは有名だが、この言葉は単に戦いのない静かな状態を意味するのではなく、「EL」の力に満たされた状態を意味する言葉であるとのこと。聖書に登場するソロモン(Solomon)やサロメ(Salome)という名は、このような「平和」という意味で、エレサレム(Jerusalem)は「平和の基」を意味する地名だそうだ。
力の満ちている状態が「平和」だという概念、一神教の異文化理解にとっても極めて重要なものだと思う。
ところで、エリザベスはスペイン語形では、イザベラ(Isabella)となるそうだ。ヘンリー8世が離婚した正妻はスペイン王家から来たカザリン。その母がイザベラ。愛人との間に生まれ、スペインをやっつけた義理の孫・エリザベス1世と同じ名前だということになる。(12年5月12日付ブログ参照)実に面白いではないか。
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