典型的な受胎告知図 |
さて、この受胎告知図は、時代が下がるにつれ約束事が決まっていく。マリアは赤い衣で、青いマント姿である。犠牲の血(赤)と天の真実(青)を示す。天使が来る直前まで聖書を読んでいたので、聖書が描かれ、天使ガブリエルは猛禽類の翼であること、処女性の証として白百合を天使が差し出す。天井からは聖霊を示す白いハトの姿。
このマリアの赤い衣(犠牲)と青のマント(天の真実)を逆に着ているのがスーパーマンというわけだ。私は、思わず膝を打ってしまった。スーパーマンも選ばれし犠牲の英雄である。こういう蘊蓄、実に楽しい。
ところで中野京子さんの記事では、シモーネ・マルティーニの受胎告知図について解説していた。このシエナ大聖堂の壁画では、天使が白百合ではなくオリーブを差し出しているのだ。(白百合は外せないので花瓶にさしている。)当時、シエナの町が敵対していたフィレンツェの紋章が白百合だったかららしい。…なるほど。宗教画とはいえ俗世にはいろいろあるわけだ。
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