2013年4月18日木曜日

「謎の独立国家ソマリランド」#1

先週、京橋に出たときに、前から気になっていた「謎の独立国家ソマリランド」(高野秀行著/本の雑誌社/2月20日初版)を手に入れた。プロローグを少し立ち読みしたら止まらなくなったのだ。文庫本や新書しかめったに買わない貧乏教員としてはちょっと勇気がいったが、これも運命(さだめ)である。(笑)2200円+税。500ページを超える重い本でもある。

この本、ものすごく面白い。読み出したら止まらない。著者の高野氏の本は他にも読んだことがあるが、読みやすい文章を書く人だ。学術書ではないノンフィクションなのでよけい読みやすい。一気に読むともったいないので、できるだけ登下校の車内限定で読んでいる。今日現在で1/3ほど読んだ。ガンガン赤線を引きながら読んでいる。と、いうのもソマリアの内戦についてはなかなか複雑で、概説された文書はいくらか読んだが、ソマリアの事情は、もうひとつわかりにくかった。しかしここには玉石混合で様々な貴重な情報がちりばめられているからだ。

ソマリランドという元イギリス領植民地だった地域だけが、武装解除して平和になったことは有名だ。ソマリアという国は、アフリカには珍しいほぼ単一民族国家で、「氏族」の長老が話し合い停戦合意したのだが、なぜ話し合いで解決できたのか。その疑問に、この本は見事に答えてくれている。その辺の核心部分については次回に譲るとして、今日のエントリーでは、この本の前半部を読んで私が「おおっ」と思った非核心部分について述べたい。

イギリスがソマリランドを植民地化した時、解放のための武装闘争を行った。この武装勢力を「ダルヴィーシュ」と呼ぶらしい。イスラムの神秘主義(スーフィー)の修行僧を意味する。テキサス・レンジャーズの投手・ダルビッシュは、この「ダルヴィーシュ」と同じ意味であるという。こういう、どうでもいい蘊蓄こそ面白い。当然、授業で使うぞ。いや、もう使ったぞ。

もうひとつ、まさにどうでもいいことなのだが、著者はソマリランドで、スバゲティを食している。ただ、フォークを使わず、手で食するのだ。昔、大阪のドーンセンターというところで、ソマリアを支援するNGOが主催した異文化理解としての「ソマリアの昼食」というワークショップに参加したことがある。その時の昼食が、ナポリタン・スパゲティを手で食べるというものだった。私は疑心暗鬼だったのだが、あれは本当だったのだった。読者にもやってみることを勧めるが、床に数人分ののスパゲティを置き、座って右手だけで食べてみてほしい。これがなんとも難しい。四苦八苦するのだ。服が汚れることは間違いない。(笑)著者も同様の感想を書いている。

とにかくも、この「謎の独立国家ソマリランド」、アフリカに興味を持っている方には超お勧めの一冊である。

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