日経で、今週は毎日「リクルート」について、第2面に連載記事が載っていた。「リクルート」とは、我々の世代なら大学時代の就職本の「リクルート」であり、政界をゆるがした「リクルート事件」の「リクルート」である。江副元社長が逝去したこともあって、様々な角度からこの企業を論じていた。
江副元社長は、毀誉褒貶のある人だが、人材育成の天才だったらしい。新人の社員が契約を初めて取り、会社に喜びの報告を入れると、上司の褒めコメントだけでなく、オフィスにいる社員たちから拍手喝さいが聞こえるようにしたという。たしかにその新人社員、感激するだろうなあ。
今も元リクルートの社員は、様々な企業で活躍しているという。江副イズムを吸収した人材が会社を離れ独立したり、ヘッドハンティングされて活躍しているのだという。今日は楽天で活躍する元社員の話も載っていた。なかなか面白い連載記事だったのだ。
ところで、私の商業高校時代の教え子でK君という人物がいる。もう50近いので生徒と呼ぶのは憚れる。ちなみに彼の奥さんも私の教え子で、今も連絡を取り合っているのだが、実は彼は元リクルートの社員なのだ。本来なら実家を継ぐ予定で商業高校に来たK君だったが、私に一般企業に就職したほうがいいと言われ、「リクルート」にエントリーしたのだった。ちなみに彼は高校生なので、大学生なら絶対的知名度があるこの企業を知らなかった。面接試験の練習を担任だった私は買って出た。「絶対試験官から目を逸らすな。」という鉄則を叩き込んだのだった。成績はフツーだったK君だが、なんと高校生の部の最終面接まで残った。
そこで、面接官から、「なぜ本社を受験したか?」と厳しい口調で聞かれたらしい。「就職情報誌の営業(募集は『営業職』だった。)をやりたいからです。」と毅然と答えたら、「君のような若造が、中小企業の経験豊かな社長から、就職募集の注文が取れるとでも思っているのかっ!」と一括されるのだ。間髪を入れず、K君は「取ります!」と答え、面接官と約1分間ガンの飛ばしあいをしたらしい。K君によると、他の面接官から「まあまあ」と仲裁に入ってもらい、最終面接は終了したそうだ。凄い面接である。(笑)彼は最後まで私の教えを守り通し、結局合格してしまったのだ。後でわかったのだが、全国で採用された高校生はたった2名だった。K君はなぜか大阪本社の経理にまわされたのだが、毎日25時くらいまで残業をして、莫大な給料(と言っても使う時間がないほどの…)を貰うことになったのだった。
リクルートはたしかに面白い会社である。人材育成に長けている。なんといってもK君の面接がそのことを物語っていると思うのだ。だからこそ、日経の連載記事に強い属性を感じて毎日読んでいたのだった。
2013年4月19日金曜日
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