2011年10月22日土曜日

カメルーンの春は遠いのか

ビヤ大統領と彼のワイフ(凄い)
カメルーンで大統領選挙が行われ、78%の得票率で現職のポール・ビヤが再選された。20人が立候補して、投票率は66%だという。これで7期目。任期は7年。サブ=サハラ・アフリカで最長期政権である。野党は、不正行為を主張、選挙の無効を訴えている。まさにデモクレイジーの典型のような話である。ふぅー。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111022/mds11102212320007-n1.htm

このビヤ大統領、先日(10月5日付ブログ参照)書いた「世界の独裁者」にも詳細が載っている。なかなかエゲツナイ(大阪弁で強烈な、あくの強いというような悪い意味)大統領である。ちょっと引用してみたい。カメルーンの大統領には議会が制定する法案の拒否権が与えられているし、議会に諮らず政令を発布できる。要するに議会は無力だ。閣僚、裁判官、軍幹部はもちろん、各州の知事・副知事、およそ100社の国営企業責任者などの任命権は、当然大統領にある。しかも各州の公務員の給料は政府から支給される。大統領の恩恵を受ける人間は全国の津々浦々に及ぶわけだ。だから、安心してビヤは、国家元首であるにもかかわらず、フランスやスイスで過ごすことが多いらしい。そのため、カメルーンにいる期間は「ショートステイ」と呼ばれている。2009年のフランスでの2週間のホテル代は1日当たり4万ドルだったとか。

このビヤは、南部のカトリック教徒で、パリ大学で学んだエリート。フランス領カメルーン独立時のアヒジョ大統領は北部のムスリム。中学までしか出ていない元郵便局員。自分にないものを持つビヤを重用した。やがてNo2の首相にする。が、その後健康上の理由で辞任、憲法の規定に従ってビヤが大統領になった。どうやらつなぎ役だったらしいのだが、見事に前大統領と後任と目された首相を失脚させる。

気候的には多彩。アフリカの縮図と呼ばれる。
カメルーンは、旧フランス植民地(8州)とイギリス植民地(2州)が合体している。ビヤは、この英語圏住民を最大の野党としている。しかし、1995年にイギリス連邦に加盟。このあたり、ただ者ではない。カメルーンの石油は仏・独へ輸出している。さらにチャドからもパイプラインがカメルーン経由で輸出されている。欧米の微妙なエネルギー資源確保の競争心を巧みに利用している。チャドのデビー大統領と二人で「お前もワルよのう。」と語り合うような関係である。

というわけで、カメルーンのHDIは、153位/182国。大統領やガバナンスが悪い故の貧困がここにもある。カメルーンの春はまだまだ遠いのだろうか。それとも、とりあえず紛争の罠にハマっていないだけマシなのだろうか。

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