震災復興とODA削減について:震災直後にODA削減、復興校財源にあてるべきという声が出た時は正直なところ大変な事態になるのではないかと思いました。その後ODA削減に反対する世論も出て、私は、日本国民は国際的な「相互依存」を実感を伴った形で理解できるようになったのではないかと思いました。この「相互依存」とは、たとえばアフガニスタンのカンダハル市から震災後すぐい5万ドルの支援表明がありました。最貧国の自治体からの資金援助ですよ。被災して国内での再建が困難になった中小企業に対し、途上国から誘致の声も多数届いています。こうした支援が寄せられたのは、日本が途上国支援を続けてきたからです。経済が好調だった時に「国際化」という言葉がしきりに使われましたが、日本人は「国際化」の意味について理解していなかったと思います。今回の震災で、日本人は援助とは相手国のためだけにあるのではないことを実感したと思います。
世界第五位に下がったODA予算について:就任後、一番大きく変えたのは、本当に必要な援助だけを残すということです。日本のODAは長年アジア中心でしたが、アジアは経済成長を果たし、今最も必要としているのはアフリカです。成長したアジアの国々と一緒にアフリカを支援する体制をつくってきました。
若者の「内向き志向」について:JICAの職員募集では30~40人の募集枠に何千人もの応募があります。外国の大学院への留学が減少しているのは、企業の予算削減という原因もあると思います。国際社会で働きたいという若者の多さに、私は希望をもっています。
3期目も4年間勤めるのか:冗談じゃありません。私も84歳です。そろそろ休ませていただきたい。政府内で後任が決まらないので、当面続けるという条件で引き受けました。就任後、職員をとにかく現場に行かせました。現場を見て初めて一番必要とされている援助は何かが分かるのです。援助の質を向上させるには、現場に出なければならないのです。
いやあ、やっぱり凄い人なのである。緒方さんは、結局のところ、『地球市民』的な発想でJICAを引っ張っておられることがよくわかる。国際的な相互依存というのは、地球市民の共生という概念そのものである。日本は、世界の中で生きていくしかない国である。今回の震災は、まさにそのことを教えてくれた。常に世界に目を向けて、地球市民として共に生きていくという姿勢が日本人に求められているのだ。私は、そういう日本人を育む教育がしたい。
アフリカ支援に対しても、そのスタンスを大いに支持したい。アジア諸国とともに日本が様々な形でアフリカで国際協力することは、日本にもアジア諸国にも、とうぜんアフリカにも大きな成果を生むだろうと思う。
若者への緒方さんの目は温かい。外務大臣に、という声もあるが文部科学大臣になっていただいてもいいのではないか。日本の教育が変わるはずだ。
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