2010年6月27日日曜日

本校硬式野球部への賛歌


 今朝新聞を読んでいると、夏の甲子園予選・大阪大会の組み合わせが載っていた。本校の野球部はくじ運が良かったのか、2回戦からの出場で、府立M高校と私立Y高校の勝者との対戦になっていた。19日、住之江球場での対戦である。<今日の画像はその住之江球場である。>私は、あんまり野球に詳しくない。しかも得意ではない。とはいえ、硬式野球部というのは異論もあろうが、やはり特別な存在に思える。良い、悪いは別にして全てのチームの選手の名前が新聞に掲載される。(バレーやサッカーやバスケットなどを熱心に指導されている先生方は、この差を快く思っていない事が多い。)なにか不祥事があると大きく扱われるし、高校のクラブ活動の中では最もメジャーなのである。小規模校で、しかも男子が少ない学校なのに、硬式野球部があるのは不思議である。
 本校は、本当に良い学校だと思うが唯一の欠点は、グランドが”ない”に等しいということである。詳細に言えば、あるのだが、徒歩5分かかり、猫の額のようなグランドで、テニスコートが4面とれるかどうかしかない。しかも同じ市立のH商業高校との共有である。そんなグランドで硬式野球部は練習している。したがって、内野の守備練習はともかく、外野フライなどノックできない。グランドが使えない日は、校内でトスバッティングをしているが、普通でも狭い校内である。なんとバドミントン部のお古のシャトルをトスしている。キャッチボールも出来ない。でも、彼らは、きちんとユニフォームに着替えて毎日練習しているのである。

 前任校のI工業高校の野球部は強かった。野球をするために学校に来ていた生徒が多かった。私のいた15年間ではさすがにプロに行った生徒はいなかったが、社会人野球や韓国プロ野球に行った生徒も出た。よく甲子園出場校が出場が決まった後、大阪にきて練習試合を申し込んできた。東北地方の有名校でD選手の出身校T高校に4対2で負けたとか、S高校とは4対3だったとか、『絶好のかませ犬』だったらしい。昔々私が学年主任をしていた時、ベスト16まで進んだことがある。藤井寺球場まで応援にいった。”野球部が強い”ということは、嬉しいことである。一度、凄いコールドゲームを見たことがある。相手のチームはかなり弱かった。四球、盗塁の連続とヒットの嵐で打者一巡。一年生が我々の前で声をからして応援していたが、かわいそうなくらい点が入り、いちいち踊りまくって歌いまくっている。「おい、もう休んだらどうや。」と言ったら「いえ、先輩に怒られますから。」とのこと。笑った。彼らは心では「えーかげんにしてくれぇ」と思っていただろう。結局1回が終った時点で10点以上の差がついた。相手校への配慮か、前任校の監督は一気に選手を変えた。と、いってもやはり強いので、あと5点くらい追加したと思う。「やれやれ、ヒドイ試合だった。」と生徒に祝福もせず帰ったことを記憶している。

 と、いうわけで、本校に赴任してからも、試合と授業や補習が重ならなければ、出来るだけ応援に行くようにしてきた。ところが、本校の野球部は、当然のことながら弱いのである。外野フライが飛ぶたびに、目を覆いたくなる。内野ゴロをうまく処理できた時は大拍手である。”勝つ”というより、アウトを取ることが拍手の対象になる。エラーが当たり前のシチェーションである。まさかこんなに差があると思っていない一般生徒は、最初こそ期待の声援や拍手を送っているが、だんだん母性本能のみで拍手を送るようになる。ヒットなど出た時は、優勝したような歓声に包まれるのである。あれは赴任2年目の万博球場だったと思う。ちょうど前述の前任校の時経験した”ヒドイ試合”になったことがある。前任校の監督には、サムライとしての情けがあったが、本校が対戦した相手校にはなかったようで、大阪大会歴代第2位の記録のコールドゲームとなった。私は、勝者と敗者と全く違う立場で、このような”ヒドイ試合”を見たことになる。
 でも、彼らは今日も『野球』をやっている。それが、バドミントンのシャトルであっても、ひたすらスキルアップを目指している純真な姿は、レベルこそ違え強豪校と同じである。頑張れ、…本校野球部! 

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