2024年9月15日日曜日

アウグスティヌスはベルベル人

「アフリカ哲学全史」(河野哲也著/ちくま新書)の歴史編で、何人かのアフリカ大陸出身の教父哲学者が登場するが、なんといってもアウグスティヌスである。彼は、カルタゴの西約250kmにある内陸の出身で、ベルベル人(北アフリカの民族:ギリシア語のギリシア世界外の非文明人を意味するバルバロイが語源だとされている。現在はアラブ化・イスラム化が進んでいる。)である。

彼の自伝書「告白」によると、カルタゴなどはローマの影響がかなり強いが、出身地はまだベルベル人の伝統が息づいており、父は異教徒の下級官吏、母はキリスト教徒であった。家庭内では、それでもラテン語を母語としていたようだ。(この辺が面白い。)青年期は、ラテン語や弁論術を学び、かなり奔放な生活していたことは有名で、マニ教に入信するも、弁論術の教師としてミラノに赴任した際、新プラトン主義に大きな影響を受けマニ教から離れた。同時にキリスト教に回心するのである。

アウグスティヌスは、西洋哲学史、就中、三位一体説やスコラ哲学など、かなり重要な人物だが、当然アフリカ哲学という範疇からは、語られることはない。こういった例が、いくつか紹介されている。

…アウグスティヌスがベルベル人であったというのは、ザビエルがバスク人であること同じくらいの驚きである。アウグスティヌスは授業で教えるが、不勉強で出身地まで語ることはないので初耳だったのだ。実に興味深いと私等は思うのだが…。

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