2024年8月30日金曜日

「聖書の同盟」書評 続編3

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ニクソン共和党政権では、現実主義の国際政治学者・キッシンジャーハーバード大学教授が国務長官になる。ドイツ出身のユダヤ系移民。ニクソンは、当時のイスラエル首相メイヤーとの首脳会談で、核実験なし、公式に核保有を認めないとの条件で、イスラエルの核保有を黙認した、と言われている。

この頃、PLOのアラファトが国際舞台に登場。PLO内の非主流派のPFLPが旅客機乗っ取りなどの派手なテロ事件を起こし、日本赤軍も呼応し現ベングリオン空港での乱射事件を起こしている。ちなみにこの時犠牲になった27人のうち、21人はプエルトルコの巡礼者だったらしい。

しかも、エジプトのサダト大統領が、シリアのアサド大統領(現大統領の父)とともに、第4次中東戦争を起こす。TVも車の通行も止まる祝祭日・ヨムキブール(贖罪の日)を狙った。イスラエル政府は、この攻撃の確かな情報を、ナセル前大統領の娘婿から得ていたが、アメリカの先制攻撃をしたら十分な支援はしないと釘をさされた故に、アラブ側の攻撃を甘受した。ニクソンは、軍事物資の緊急空輸と巨額の緊急支援を議会に要請。OAPECが石油戦略に出て、いわゆる石油ショックが起こる。その後、ニクソンはウォーターゲート事件で失脚することになる。

…ニクソンは、実に不運な大統領で、極めて評判が悪い。この本は、アメリカとイスラエルという視点に固定しているのでえ、他のことは全く出てこない。ケネディージョンソンの負の遺産であるベトナム戦争の敗北、ベトナム戦争の戦費増大に端を発する財政不安から起こったドルショック、そしてこの石油ショックと立て続けに、アメリカの「負」を背負わされることになった。一方で、対中国の国交を開いたりもしているが、後にジョン・レノンが住んでいたNYのダコタアパートへの入居を住人たちに拒まれたりと散々である。まあ、ウォーターゲート事件のイメージも最悪だけれど…。

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