2018年3月29日木曜日

インド植民地のからくり

https://www.youtube.com/watch?v=YhXaCMF32ck
インドが植民地だった頃、香辛料などの原材料を輸出してイギリス相手に多額の貿易黒字を計上していた。その輸出代金は自国通貨のルピーではなく、ポンドを使って決済されていた。金本位制であるから、金に交換することは可能だったが、イギリスは金に交換しても金利がつかないのでポンド運用が得だと説得した。ルピーの為替レートはポンドに固定されているため、イギリスはインドでいくら赤字を出しても、ルピーが切り上がることもなく高い輸入コストも負担せずにすんだ。インドが輸出で稼いだポンドの預け先は、もっぱらイギリス国内の銀行に貸しおかれ、それは金融市場でイギリス経済のために活用された。銀行預金の口座名がインド人になっただけで、しかも貯まる一方である。

輸入でイギリスの国内生産が代替されてその分生産が減ったとしても、赤字によって流入するポンドは銀行の積極的な貸し出しを可能にし、赤字分以上の預金、すなわり購買力をつくりサービス産業を拡大することになる。イギリス経済はこれでさらに加速する。

一方、インドではルピー預金の黒字分に見合うポンド資産の取得に使われた。そのため国合いで使われるルピーは少なく、インド経済はルピー不足から次第に資金が逼迫し、デフレ要因になった。

このインドを日本に、イギリスをアメリカに置き換えると、現在の日米関係がわかる。日本は、輸出代金をドルにしている。したがって、日本の貿易黒字はアメリカに握られ、しかも莫大なアメリカ国債を買わされている。(プラザ合意当時の大蔵省の指示で、いまでも保険会社などが莫大に保有している。)こうして見ると、マレーシアが輸出代金の75%をリンギに替えること為替政策をとっているのは極めて賢明な措置であることがわかる。

12点男が貿易赤字を主張するのは、笑止千万。経常収支云々も笑止千万。金本位も伴わない変動相場制下の基軸通貨・ドルの優位は、金本位制下の固定相場制のインドとイギリスの関係以上に強力である。輸出で外貨を稼ぐことを国の生存基盤に据えてきた日本は、円高をこれまでのトラウマによって、極めて怖れている。アメリカは自由に円高を演出できる。故に日本政府はアメリカの言うなりになっているわけだ。これでは51番目の州どころか、金融植民地である。

昨日のエントリーの最後で述べた極論は、「黒字亡国」(三國陽夫著・文春文庫)から導かれている。いずれ詳しくエントリーしたい。

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