2017年11月20日月曜日

NHK 龍馬最後の30日を見る。

NHKスペシャルの「龍馬最後の30日」を見た。越前藩に残された最後の龍馬の手紙を元に作られたフィクションだが、史実になかなか忠実で、見応えのある内容だった。

龍馬暗殺は未だに謎が多く、見廻組の仕業というのが一応の定説だが、このフィクションでは、山内容堂の陰謀説を採っている。たしかに、龍馬の思惑であった大政奉還を成し終えた段階で、武力倒幕をめざす薩長にとっては、龍馬のスタンスは邪魔であったに違いないし、幕府と薩長両者の中間的存在だった土佐は、旗幟を鮮明にする必要があったはずだ。しかし、龍馬暗殺(1867年12月10日)直後の小御所会議(1968年1月3日)で、山内容堂は、薩長は、慶喜の官職辞職と幕府の減封に対して反対しているので、(結局土佐は薩長側に寝返るが…。)私としては、少しばかり納得は行かない。薩長の可能性もあるし、佐幕派の線もありうる。

船中八策(これも歴史学上、謎が多いらしい)の先進性は、このドラマでも最後の松平春嶽の回想にあるように、極めて突出していたと思われる。ただし、西郷は下級武士による下院的な議会構想をもっていたらしいし、多くの先進的な志士の考えをまとめたものであるといえる。龍馬だけが、背負っているものが藩ではなく海援隊だけだったわけで、自由に発想し動けたわけだ。「どいつもこいつも頭が固うて自分が得することしか考えていない。」という台詞は、よくわかるけれど当時としては当然の話である。

いずれにせよ、春嶽のところにあった自転車(ビラスビイデ独行車)に龍馬が初めて乗り、春嶽も乗るというシーンはこのドラマの象徴的なシーンであると思う。この名君は幕末では特に魅力的な人物だが、情に厚いが故にこの時代をリードできなかったのかもしれない。ある意味、佐幕派に祭られてしまった会津の松平容保と対極を成すような気がする。

https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20171119
http://o.x0.com/m/623493

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