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キリスト教世界に対応する概念としては、「ダール・イスラーム」という概念がある。イスラームの世界観では、宇宙の創造心アッラーは天と地の主であり、主権はアッラーのみにあり、大地は全てアッラーに属する。領域国民国家という地球の分割という発想はない。地球の主権は神にあり、神授の天啓法シャリーアを世界の隅々まで施行することが人間の義務とされる。そこで、イスラーム法学では、ムスリムが支配しイスラム法によって統治されている法治空間を「ダール・イスラーム」とし、異教徒が「不法」に治めている「ダール・ハルク」(戦争の家)に二分する。このダール・イスラームを弘める義務をジハードと呼ぶのである。ジハードの規定において、ムスリムはダール・ハルクの住民にムスリムと成るか、ジズヤ(税金)を治め生命・財産・名誉の安全を保障されるズィンミー(庇護民)として、その居住地をダール・イスラームに編入するように呼びかける。
この庇護民となれるのは、キリスト教徒・ユダヤ教徒・ゾロアスター教徒のみとする学説と、全ての異教徒とする学説があるそうだ。(フィクフの本にもそのあたりが詳しく書かれている。またいずれエントリーしたい。)このダール・イスラーム、ダールハルクという大別は、スンニー派もシーア派も同様である。重要なのは、キリスト教世界には、異教徒の存在は想定されていない。イスラームでは、異教徒との共生が前提になっている。ジハードの目的は、あくまでイスラーム法の法治空間/ダール・イスラームの拡大であると中田氏は説いている。このキリスト教の排他的な信徒組織とイスラームの異教徒を支配下に置く都市国家の「国教」であるという相違が、文明としての西欧文明とイスラーム文明の相違を生み出したというわけだ。…なるほど。
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