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私は、官僚をあまり色眼鏡で見ていない。メディアなどでは、やたら目の敵にされるが、どの業界でもいい面、悪い面があると思う。民主党政権になった時、政治主導の名のもとで、この事務次官会議が一時廃止された。私は、大丈夫かいな?と思ったが、大震災の対応などで事実上名前を変えて野田政権時に復活している。官僚=悪という色眼鏡は、結局国民にとって不幸を招いたと思う。震災直後の政府の対応のまずさこそ、いかがなものかと思う。
官僚は極めて頭脳明晰である。私はこれまで国家公務員上級試験を突破し、中央官僚になった知人が3人いる。京大出身で(旧)通産省に入った先輩の下宿は、全面本棚で驚いたものだ。東大経済出身の(旧)労働省に入った後輩の理解力に舌をまいたこともある。いっしょにボーイスカウトのキャンプを手伝いに行った中学の同級生が、50歳の同窓会で(旧)建設省にいることを知って驚いたこともある。まあ、たしかに成績抜群だったが…。
この古川氏は九州大学出身である。霞ヶ関ではマイナーな存在である。しかも一度試験に失敗し、長崎県庁に勤めながら、再挑戦している。今日の「私の履歴書」では、そのへんが書かれていた。結局試験は10番で、厚生省の面接を受ける。長崎からの長旅で顔色が悪かったのか、面接で不合格となるのだ。古川氏は人事課長に再度会いに行き、自分の思いをぶちまける。
当時の人事課長は偉い。結局、古川氏は合格になるのだ。しかも、4月からではなく、早めに採用される。長崎知事も偉い。古川氏という人材を失うには惜しいが、国のためと送り出してくれる。この時、送迎会を開いてくれたのが当時の自治庁から長崎に出向していた政治家の片山虎之助だというのも面白いつながりだ。
出世競争の中で、自己保身に走る官僚も多いそうだが、古川氏のような熱い思いで頑張っている官僚もいるはずだ。どこの業界も同じ。凄い人は凄いし、二流の人は二流だ。官僚主義を乗り越える力のある官僚こそ、今求められているのかもしれない。
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