2013年12月30日月曜日

今年この1冊 2013

今年この1冊は、あまり迷うことがない。平野克己先生の「経済大陸アフリカ」(中公新書・1月25日発行)で決まりである。私自身、それくらい大きな影響を受けた。今年考案して実践したアフリカSDゲームは、アフリカのレンティア国家がいかに経済基盤を整え、グローバル化に対応していくかをゲーム化したものである。

先日の京大でのアフリカ学会公開講座でも、大林稔先生の「定説」として取り込まれていた。今やアフリカをアフリカという閉じた世界で論じられなくなっている。今、まだポール・コリアの「収奪の星」については現在進行形なのだけれど、レンティア国家がいかに資源の罠から抜け出せるかというのが主題である。緻密な経済学の理論を駆使して、自然資源の経済学的意味合いを追い求めている。今や、平野先生が平易に教えていただいた「レンティア国家の集合体としてのアフリカ」という見方が、現在最も「的確なアフリカ像」なのだろうと思われる。

もちろん他にも多くの書評を今年も書いたが、アフリカ関係でこの「経済大陸アフリカ」に迫るのは、「謎の独立国家ソマリランド」(高野秀行著・本の雑誌社/2月20日発行)だと思われる。次点という感じだ。著者は、もちろん開発経済学者ではなく、紀行文的なノンフィクションである。しかしながら、ソマリア問題の理解のための極めて重要な資料になった。先日のディベート実践でも、十分活用させていただいた次第。

今年は多くを読めなかった1年間だった。体調不良が最大の原因だ。こんなことでどうする?と自らを叱咤しつつ、年末恒例のエントリー「今年のこの1冊」の筆を置くことにする。

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