昨日の朝日新聞の朝刊「世界発2013」に、「現地証明制度 発足から10年 絶えぬ闇ダイヤ」と題した記事が載っていた。要するに、キンバリープロセスの話だ。ダイヤの原石が武装勢力の資金源となることを防ぐ目的で違法ダイヤを国際市場から排除するために原産地証明を義務付ける制度のことである。
記事は、レソト(周囲を南アに囲まれた南アフリカのスイスと呼ばれる小国である。)の首都マセルの郊外にある村で、ダイヤモンドの原石の闇取引の現場取材から始まる。この村のダイヤモンド原石は露天掘りできるくらい豊からしい。ただし、冷たい川底をあさる厳しい仕事だ。村人は生きるため、この「違法」採掘を行い、闇ブローカーが買い付ける。このダイヤは南ア経由で世界中に流通する。正式な免許をもつ正規業者に、ブローカーが売り込むのだ。また登録された正規の採掘業者が安い違法ダイヤを買い、原産地を偽って正規品に混ぜてしまうこともあるらしい。加工してしまえば、まさに「違法も合法も、同じ。」なのだという。
記事の最後のほうに中央アフリカの武装勢力「神の抵抗軍」で強制労働させられていた男性の証言もでてくる。月2回ほどヘリが来て武器、食料と交換していたというのだ。
…ダイヤモンドの国際価格は過去にはデ・ビアスのダイヤモンド・シンジケートが握っていて、価格が下がらないのが強みだった。今は様子が、だいぶ変わっているが、巨額のビジネスには変わりがない。私は、このキンバリープロセスの理念には、少し疑義を感じている。原産地の特定によって、ダイヤモンド産地を限定して、供給量の操作を行い、結局儲けようという権力をもった側の人間の欲望の深さを感じてしまうのだ。
…詳しく調べてみると、理念は崇高だが、この記事のような現実の問題をきびしく批判している人もいるようだ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Kimberley_Process_Certification_Scheme
…村の人々の気持ちを代弁すると、こうなる。レソト産のダイヤモンドのどこが「違法」なのか。単にダイヤモンド市場関係者が、平和の美名にかくれてさらなる儲けを生もうとしているのではないか。
…問題は、ダイヤモンド原石の価値ではなく原産地の名によって価格が下がり、買い叩かれるという構図ではないのか。このことが、新たな貧困や経済格差を生んでいる。中央アフリカは、今悲惨な状況にある。まさに鉱産資源の呪いなのだが、私には、キンバリープロセスが、さらなる新たな呪いを生み出しているように感じるのだ。
2013年12月18日水曜日
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