2013年6月2日日曜日

日本人に贈る聖書物語Ⅰ・Ⅱ

昨夏イスラエルへ旅立った日の話になるが、関空の書店で「日本人に贈る聖書ものがたり」(中川健一/文芸社文庫)を購入した。何巻だったか記憶にない。結局読まないままだったのだが、妻がこの文庫本、どうも気になるということで、最初の巻から全巻、すなわち全8巻を地元の書店に注文して読み出した。そもそも、一神教の世界の知識は我が家では私が一番であったのだが、息子がその道の専門家になってしまい、妻もまたこの本を全巻読んで私より詳しくなってしまった。やたら、一神教の話をしてくるのだった。このまま無視してもいいのだが、やはり沽券にかかわるので私も追読することにした。最大の利点はタダだということだ。当分書籍代が浮かせる。(笑)

というわけで、Ⅰ巻Ⅱ巻と読み終えたのだが、なかなか面白い。この2巻は、アブラハムからヨセフまでの族長時代を描いている。472P+348P=820Pもあるのだが、比較的スイスイと読み進めることができる。この辺は、まさにタイトル通りである。

読後メモ的に書くと、凄い量になってしまう。とりあえず、アブラハム-イサク-ヤコブ-ヨセフという族長時代の祝福の流れについて私の感想を書きたい。当然これまでアウトラインは押さえていたが、この本では小説的にかなり詳しく書かれている。
彼らは、まず基本的に羊飼い(遊牧民)なのだ。「謎の独立国家ソマリランド」やアフリカ各地の遊牧民の文献を読んでいるので、彼ら特有の生きる力、知恵、戦いなどは理解するのが比較的容易かった。遊牧民の彼らの欲望はストレートだし、その為の策動もなかなかエゲツナイ。
個人的には、やはりエジプトの宰相にまで登りつめたヨセフが凄いと思うが、ヤコブもなかなかのもんである。ヤコブとエサウは双子で、生まれる時、ヤコブは兄の毛深いエサウのかかとを掴んで離さなかったという話は凄い。

一方、これだけは読後メモとしてエントリーしておきたいことがある。神の名「YHWH:ヤハウェ」についてである。神の名を後にユダヤ人は「アドナイ(わが主)」と読みかえることにした。YHWHにわざわざアドナイと振り仮名をふっていたらしいのだ。16世紀に非ユダヤ人の学者がこのアドナイという振り仮名のついた「YHWH」をそのまま発音し、今や一般的な「エホバ」となったらしい。したがって、エホバという神の仮名は聖書的でもユダヤ的でもないらしい。まるで、インドのジャーティーに対するカーストみたいな話である。

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