2010年2月25日木曜日

今年度版 「私のPRSP」Ⅲ


 さて、「私のPRSP」第3弾である。マリのPRSPは,10枚にもおよぶ大作である。彼女は、マリの数ある問題点から、まず保健事情(メジナ虫病やトラコーマなどの原因を分析している)と栄養失調、乳児死亡率等を挙げている。次に経済についてインフラの整備の遅れを指摘している。ただ、トンブクトゥやジュンネモスクなどの世界遺産の存在をあげ、この観光資源の効果的な利用をマリの希望と見る。短期的には、「人間の安全保障」として、安全な水、マラリア予防のための蚊帳の配布など保健衛生面を強調している。ところで、この項で彼女はおもしろい提案をしている。マリやニジェールなどは、虫害が度々起こる。イナゴの大群が押し寄せ、雑草といわず穀物といわず食べつくしてしまうのだが、穀物を守る網を用意しておくとか、識字率の高いところでは農薬を散布するとか、いろいろな対策を考えた後こう述べている。「いっそのことイナゴを食べてみてはどうだろうか。」私は大笑いしたが、現実的な意見でもある。(私はジンバブエのスーパーで幼虫の乾燥したモノを買って多くの生徒に試食させたが、ついに私は食べていない。)観光客誘致にも、この保健衛生を中心とした「人間の安全保障」はゆずれないと彼女は主張している。中期的には、教育の充実で、「緑の革命」を実施し、ソルガムやミレットを主食とすることからの脱出を図る。インフラの整備も観光地を首都と結ぶように整備する。またおもしろい提案があった。マリの木製の楽器や木彫りは人気があるが、砂漠化に一役かっているのではないかと思う。教育レベルが上がれば砂漠化という環境問題に太刀打ちできるとの提案だ。長期的には、マリの水不足を補うことが最重要としている。ここでも面白い提案があった。実験的に畑に高分子吸収体を埋めてみるのはどうか。(おそらく東京農大のオシメを使った灌漑農法を教えたのでそのことだと思う)もし、近隣諸国でつれたクラゲが使えたら素晴らしい!(これは笑った)それから、英語教育の充実。観光客には何と言っても英語ができるガイドや運転手、ホテルマンが必要だ。彼女の理想のマリは、「人が旅をしたいなと思ったときに、ぱっと名前が出てくるような国」である。なるほど。実は、私の最も行きたい世界遺産は、ずっとジュンネのモスクであった。昨夏ブルキナでその何分の1かの規模のモスクに行った。めっちゃよかったのである。でもやはり憧れのジュンネである。
 さて、ブルキナファソ編である。ブルキナについては、画像を見せたり、ずいぶんと話をしたので、反対にPRSPを書きにくかったと思う。もし、私に書けといわれたら、うーん。このまま平和な国であって欲しいとしか言いようがない。彼女のPRSPもこう始まる。「ブルキナファソは、何もないのでとても平和な国である。ダイヤモンド、金、石油の開発に努力している。しかし私は何もないずっと平和な国でいて欲しいと思います。」(授業で、ポール・コリアーの天然資源の罠や紛争の罠の話を嫌というくらい聞かされているからだと思う。)彼女の提案は、まず砂漠化の阻止である。ブルキナ在住のNGO「緑のサヘル」のM氏に喜んでいただけるかもしれない。また教育の改革で、「子供に考えさせるような質問ができる教師の育成」を挙げている。JICAのS氏やゾンゴ氏にも喜んでもらえるかなと思う。なんか、私の受け売りのPRSPっぽいけれど、一所懸命授業を聞いていてくれていたんだなと思った次第。本当に、ブルキナファソのPRSPは難しいと思う。「人間の安全保障」は当然必要だし、保健や教育の向上が、HDIワースト3から抜け出る道だと思われるが、では、マリの観光や、アンゴラの石油のような「なにか」があるのかと言われると、残念ながらない。ないからこそ平和であるというジレンマが、ブルキナなのである。ブタを食らうムスリムも、キリスト教徒も共同墓地に眠れるいいかげんな国でもある。だからこそ困るし、またいいのである。ただ、ブルキナべの子供たちの潜在能力を生かせる国であって欲しいと祈るばかりである。

2 件のコメント:

  1. いつも他愛のないコメントに返信頂きありがとうございます。

    イナゴを食べるのは面白いですね!
    私も人間がネズミを食べるようになれば、
    世界の食糧状況は驚くべきほどに改善されると思っています。
    彼らはドッグフードを食べれば犬ぐらいに成長するみたいですし、なんと言っても成長速度と繁殖力が抜群ですからね。
    ただ、ゴキブリもですけど動きが早い生き物はどうしても気持ち悪いのです。。

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  2.  イナゴの話、私も大笑いしました。国際理解教育を、開発経済学で、真正面から取り組んだ理由について、書いておきました。うまくまとめれたか自信はありませんが…。

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