2010年2月24日水曜日

今年度版 「私のPRSP」Ⅱ


 昨日の続編である。今日は、まずルワンダ編。ルワンダは、有名なツチとフツの大虐殺事件があったが、比較的ガバナンスが改善されつつある国である。
 生徒の「私のPRSP」は、コーヒーの話から始まっている。ルワンダのHPに行くとコーヒーの宣伝が目立つ。アフリカ大陸初のカップ・オブ・エクセレンスという最も優秀なコーヒー園を選ぶ大会の開催国にも選ばれている。このことからもルワンダのコーヒーの品質が良いことが推測される。短期的には、この利点を生かして、インフラ整備や食糧輸入に回すべきである。また中期的には、「アフリカのスイス」と称されている豊かな自然やマウンテンゴリラの生息地といった観光資源を生かしたい。問題は、今なおくすぶる治安の問題や隣国の政情不安が挙げられる。今の経済成長率の高さを生かして治安対策をさらに高めるべきだ。長期的には、水の問題だ。降水パターンが不安定なルワンダ農業のために「ため池」を作って灌漑施設を充実させるべきだ。さらに安全な飲み水(52%しか安全な水が確保できていない)が、保健医療分野での改善を促す。これら問題をクリアできたら、教育に力を入れ、識字率の向上や自国内での人材育成がはかられ、国民国家をめざすことができるのではないか、との結ばれている。私のコメントとしては、最後の水の話は、「人間の安全保障」に関することなので、なによりも最初に取り組むべきものだと思うが、高校1年生のレポートとしては十分満足できる内容だった。かなり私の「高校生のためのアフリカ開発経済学テキスト」を読み込んでくれているなという感想である。
 もうひとつ。アンゴラ編。彼女の「私のPRSP」は、「人間の安全保障」から始まっている。なにより地雷の撤去である。またアンゴラの問題点として彼女が詳しく挙げている感染症の問題。マラリア、コレラ、マールブルグ熱などの風土病への対策。次にダイヤモンド鉱山の採掘と流通経路の透明化。この辺は、授業で「天然資源の罠」でいやというほどアンゴラの例を引いたので確実におさえてくれている。そして、教育、ガバナンスの問題へとレポートは続いている。なかなかいいレポートだった。
 アンゴラは最新の経済成長率が10%を超えている。石油の増産によるものだが、今がチャンスだ。ワールドカップにも出場するし、うまく飛翔して欲しい国だ。ウルルン滞在記で、ドイツの国際平和村シリーズで地雷の被害に会ったアンゴラの子供たちがたくさん出てきた。あれから10年以上たっている。改めて彼らの幸せを祈りたい。この「私のPRSP」シリーズ、さらに…つづく。

2 件のコメント:

  1. 本当にかなり高いリテラシーですね。
    しかし、だからこそもったいない。あまりにも真面目過ぎではないでしょうか?課題と解決策の羅列ではなく、どこまで理想を描き切れるかの方が大事な気がしてしまいます。

    なぜ開発経済学を教えるようになったかのエントリ、楽しみにしてます。

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  2.  了解しました。国際理解教育の根幹に関わる問題です。おそらく、私は「異端」だと思います。(笑)近々書きたいと思います。

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