2024年1月30日火曜日
馬場辰猪の不遇
2024年1月29日月曜日
渡辺崋山の悲哀
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http://www.bios-japan.jp/omoshiro2.html |
さて、渡辺崋山は聡明な人であり、藩政改革に取り組み、海防掛になった頃から蘭学を学ぶ必要性を感じ、蘭語を学ぶ時間がなかった彼は高野長英らの翻訳書をもとに、外国事情を研究・考察するのだが、これが極めて的を得ている。ここまでわかってしまえば、当時の幕政批判にならざるを得ない。蛮社の獄で繋がれ、後、罪人として故郷で蟄居させられるが、藩主に類が及ぶことを恐れ「不忠不孝渡辺登」(画像参照)という遺書を残し、自害するのである。家老らしい責任の取り方ではあるが、先駆者の苦悩というには、あまりに有能な人故、悲しすぎる結末であると私などは思う。
2024年1月27日土曜日
鹿野政直 アプレゲール
すぐ年上には、国家に殉じて「散る」ことを使命とも宿命ともした「戦中派」世代がいた。敬意をかきたてられつつも、その美しさとひたむきさ自体が国家の陥穽(かんせい:落とし穴のこと)に自ら投じる心理を準備するところがなかったかと思い、そこを見つめなければ同じ轍を踏むだろうと自分に言い聞かせ、美しくもなくひたむきでもなく生きるという意味でも戦後派であろうとした。これらのことが、氏を大学進学にあたって国史を専攻する動機となった。
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https://hanga-museum.jp/ exhibition/past/2018-341 |
戦時中、兵士になることを納得させようと努めてきた氏は、しばしば『ピンでとめられた昆虫』を連想したそうだ。後に、「生き身をピンでとめられた存在」(ふるさとの女たち:古庄ゆき子)という記述や「ピンでとめられた芋虫の兵隊像」(画家浜田知明/右記画像参照)に接して思いの外、過剰反応したという。軍が栄光を独占するようになった体制は、どのようにしてつくられ、どのように縛って、自分たちを無力感の虜囚としたのか、その課題への執着が、「近代日本軍隊の成立」という卒業論文になったという。
…我々は、戦後派などより遥かに新しい「紛無派」(安保闘争などの紛争が無い/終わった世代)で、しかも反戦フォークソングではあるが、ソフトなイメージの『戦争を知らない子供たち』を、まだ明石家さんまやオール巨人・阪神が新人の頃のヤング・オーオーというTV番組で聞いていた世代である。(上記の曲はもちろんギターで弾けるが、今は恥ずかしくて歌うことはできない。)”戦争を知らない子供から大人になった”私にとって、戦争はまさに書物の中の世界でしかない。それは幸せなことでもあるが、危険なことでもある。ともすれば、国家の陥穽に陥るかもしれないからである。そんな事を考えながら、加川良の『教訓Ⅰ』を聞きながら、この本を読んでいこうと思う。(久ぶりに聞いたら、ジェンダー的に問題があるよなあと痛感した。昭和の曲なのでご勘弁。)
教訓Ⅰ:https://www.youtube.com/watch?v=FSaMY7TRgFI
2024年1月26日金曜日
Sang Harimau の執念
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https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2024/ 01/25/gazo/20240125s00002000675000p.html |
「マレーの虎」が話題になるのは、実に久しぶりなのではないかと思う。マレーシアはとにかく日中は暑いので野外で運動などできない。だからサッカー熱はそれほど高くないし、競技人口も少ないのではないかと思う。反対に体育館でできるスポーツ、特にバドミントンは競技人口も多いし、世界でも強豪国のひとつである。前々回のオリンピックの決勝戦の時はフードコートのTVにみんな注目していた。この時は結局銀メダルに終わり、みんな一斉にため息が漏れた。後から聞くと、もし金メダルを取っていたら国中が祭日になるらしい。実にいい国だと思ったのだった。(笑)さてさて、フードコートのTVは、そもそもサッカーの試合を流していたのだろか…。
ONE WORLD FESTIVAL
2024年1月24日水曜日
中東料理店で意外な発見
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https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/0f7f7ee6d9a97b43ef536e41d6da83261bb6350b |
さて、意外だったのが、客が我々以外は、全てアラブ人であったことだ。隣席にはヨルダンの男性が2人。後から来た客もどこかはわからないが中東系。後から聞くと、京田辺の北隣の八幡市に多くのアラブ系の人がいるらしい。この辺は、かなり微妙な話になるようだ。アラビア語が堪能な息子が一切アラビア語を話さなかったのも頷ける。少し調べてみると、八幡市にはモスクがあるようだ。イスラミックリサーチセンタージャパンというらしい。https://www.facebook.com/islamic.reserch.center.japan
近くにありながら、この状況は全く知らなんだ。とりあえず、シリアの人との出会いは初めてなので、「地球市民の記憶」(我がブログの常設ページ)は、106カ国・地域となった。
英国産業革命時の経済成長率
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https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72650120X00C21A6BC8000/ |
17世紀の間、イギリスの商品はオランダ船によって運ばれていた。クロムウェルの航海法によりオランダ船が排除されたが完全ではなかった。18世紀になるとイギリス船の比率は飛躍的に伸びたが、それでも経常収支は赤字だった。フランス革命からナポレオン戦争時には、戦費と工業化のための資金不足で、所得税を導入するほどに逼迫したのだが、大陸封鎖令(画像参照)でイギリス国内の外国資本は国内に留まることになり、その資金で鉄・運河・港湾の改善などのインフラ整備に回され、工業も消費財から軍需品生産などの重工業に中心を移した。大陸封鎖令はイギリスにとって、反対に大きなメリットになったわけである。国内的には、海外投資が行われず国内に向かい、富裕層の税負担増とあいまって借金依存度が減り、戦争遂行を容易にしたし、19世紀になると債務国から債権国に成長したのである。というわけで、産業革命期のイギリスは、クラウディング・アウトなど、なかったわけだ。戦争という経済的な負担、大陸封鎖令といった経済封鎖を乗り越えてイギリスは産業革命を低成長ながらも乗り越えたわけで、玉木俊彰氏は、その陰にスウェーデンなど中立国の船をつかった密貿易の可能性を示唆している。
…この戦争と経済封鎖という状況は、当然ながら、違いはあれど、現在のロシアを彷彿とさせる話である。現在のロシアも人手不足による供給減と野菜や果実などの輸入減などでインフレに苦しみながらも、今のところ、低成長ながらまあまあ経済は順調のようだ。
2024年1月23日火曜日
銀と世界の一体化
https://kotobank.jp/word/%E3%83%9D%E3%83%88%E3%82%B7-133725 |
ボリビアなど(メキシコも銀の生産で有名)の新世界から東アジアに運ばれる銀のルートは3つ。第1は、メキシコ西岸のアカプルコから太平洋を横断して、フィリピンのマニラへ送られるルート。この銀は中国の絹や陶磁器、リネンなどと交換された。第2はメキシコからパナマ地峡経由でスペインのセビーリャへ。ポルトガル経由で喜望峰をあわりインドのゴアへ。ポルトガル人の手でゴアからマカオへ、このルートで16世紀後半から17世紀初頭にかけ6000~30000kgが運ばれた。第3は、セビーリャから、ロンドンやアムステルダムへ運ばれ、英蘭の東インド会社によって東南アジアで、中国の絹や陶磁器と交換するというもの。これらは、主にスペイン船による輸送で、明の鄭和以降中国は海運事業は行っていない故に日本からの銀の輸送もポルトガルやオランダ船によるものであった。当時のマニラは、絹と銀の交換が行われる異文化間交易の中心であった。これでスペインはかなり儲けたわけだ。
やがて銀が中国に大量に流入することになる。16世紀末から17世紀初頭の中国とスペインの金銀比価は、広東で、中国が金1:銀5.5~7であったのに対し、スペインは1:12~14であった。すなわち中国の金の価値のほうが高かった。よって欧米は銀を使用することで安く絹を買えたわけだ。近世においては輸送費が現在より遥かに高くついたので、もし中国が輸送を担っていればもっと莫大な利益を得たに違いない。この輸送をヨーロッパ人に委ねたことも、アジアとヨーロッパの豊かさの逆転、「分岐点」になったと玉木俊明氏は見ている。たしかに銀は世界を一体化したのだが、17世紀の時点では中国はヨーロッパの世界経済に組み込まれたというのは早計で、イギリスの産業革命で綿製品が世界製品となった18世紀後半まで待たねばならないし、従属化はアヘン戦争以後のことになる。
2024年1月22日月曜日
英のライバル ハンブルグ
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https://setsu-shika.com/beat.html |
17世紀のハンブルグの最大の取引先はオランダで1/3を占めていた。しかし18世紀には、現ハイチからの砂糖キビが入る貿易港・フランスのボルドーとの取引が、フランス革命時には25%を占めるようになっていた。17世紀にはオランダからブラジル産の砂糖を輸入してたフランスだったが、ハイチでの生産量が1714年の7000tから、1750年には40000t、1789年には200000tへと驚異的に伸びたからである。中立都市ハンブルグが、ユグノーの亡命先になったのも大きい。ハンブルグは、ルター派にしか市民権を与えなかったが、他の宗派でも商業を続けつことが可能で、オランダが交戦中の時は、スファラディー(元スペイン等にディアスポラしたユダヤ人)がアムステルダムから避難してきたという。またポルトガルやスペインの商人とも深い関係を持っていた。イギリスのロンドンとは相互補完関係にあり、「小ロンドン」とも呼ばれるほどで、18世紀には、イギリスの主要貿易港は、アムステルダムからハンブルグに変わっていたのである。
フランス革命時には、フランスとの貿易(前述の砂糖貿易)は激減したのだが、アムステルダムがフランス革命軍により占領されると、ハンブルグは漁夫の利を得た。しかし、ナポレオンの登場で、ドイツが占領され、中立を認められていたハンブルグも占領され、大打撃を受ける。さらに大陸封鎖令である。1808年ハンブルグの商人たちは、中立国でナポポレン支配下ではなかったスウェーデンのイェーテボリに移動する。
ナポレオンの時代が終わると、ウィーン体制下で、ラテンアメリカ諸国が独立し、スペインやポルトガルの手を離れ、ロンドンやハンブルグと直接貿易をするようになり、ハンブルグは復活した。しかし、中心はあくまでロンドン。ハンブルグはサブシステムとなり、結局のところ、国家を後ろ盾にしたイギリスに商人ネットワークは敗北をきすことになったのである。
…18世紀のフランス支配下のハイチのサトウキビ栽培の驚異的増加には、恐るべき搾取システムが機能していたのは間違いない。でないと現在のハイチのラテンアメリカ随一の貧困状況を説明できないからである。
…イギリスとハンブルグと聞くと、私たちの世代ならビートルズ(画像参照)を連想するに違いない。港町リバプールで誕生した初期のビートルズが、歴史的に関係の深い「小ロンドン」とも呼ばれていた多種多様な商人の溢れる街ハンブルグに一時身をおいたのもようやく頷けるわけだ。彼らにとっては、もちろん稼げるからだったらしいが…。
2024年1月21日日曜日
主権国家と近代世界システム
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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57562 |
オランダ(画像参照)は最も早く財政制度を近代化した国で、スペインからの独立戦争の戦費捻出(1690年代の国家予算の90%が軍事費)のために重税国家となったのだが、貿易取引には課税せず、経済的繁栄を維持しながら、公債を発行し戦費に資金を回すというシステムを構築した。比較的下層の国民も公債を買っていたという。このシステムこそ近代世界システムなのである。これを継承したのが、国債で戦費を賄っていた前述のイギリスである。フランスの税制は、直接税である地租が中心で、奢侈品に対する消費税中心だったイギリスと好対照で、フランスは戦費調達方法がが前近代的であったため、革命前には財政破綻に陥っていたわけだ。
近世において、ヨーロッパの多くの地域経済を包摂した巨大な経済単位である「世界システム」が機能したからこそ主権国家が成立したと見なすべきで、経済的には、主権国家は世界システムのサブシステムとして機能した。主権国家成立が存続するためには、近代世界システムが不可欠だったいうのが結論である。
2024年1月20日土曜日
世界史の「大分岐」その2
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https://tabichannel.com/article/824/antwerp |
2024年1月19日金曜日
世界史の「大分岐」その1
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https://mag.japaaan.com/archives/57474 |
面白い数値が書かれていた。1522年から1644年にかけての西欧の書物生産量は約3570タイトルで、同時代の中国の推定値の40倍も多いというオランダの歴史学者の主張がある。清では、1644年から1911年にかけて126000部新版が出版されており、これを年平均に換算すると470タイトル。西欧の1644年の6000タイトルに比べてたしかに少ない。なお、日本の場合、出版点数は1720年代から1815年にかけて年平均300ほど。西欧では、印刷術の改良により書物の価格は安価で、有用な情報を提供しており、アジアよりはるかに知識社会だったというわけだ。玉木俊明氏は、一つの指標から西欧のほうがアジアより進んでいたという単純な歴史学を自分は好まないと書いている。この時代の日本の識字率は西欧より高く、中国の農書を中国人の手を借りずに読解し農業技術を向上させたりしているからだ。(識字率に関しては江戸期の日本:60%に対し、西欧2~30%というところらしい。)…つづく
2024年1月18日木曜日
大英帝国は、蘭・葡の賜物
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https://www.tourismmalaysia.or.jp/area/melaka_01.html |
本書では「近代世界システムーヘゲモニー争奪戦の真実」というタイトルである。米国の社会学者・ウォーラーステインの「近代世界システム」は、欧米の先進国とアジアやアフリカの途上国の国際分業体制であり、このシステムでは、工業・商業・金融業の三部門で他を圧倒する経済力をもつヘゲモニー国家(彼によれば、17世紀中頃のオランダ、19世紀終わりからWW1勃発までのイギリス、WWⅡ後からベトナム戦争勃発時までのアメリカ)が出て、周辺(途上国)と半周辺(他の先進国や中進国)が存在すると言うわけだ。玉木俊明氏は、工業・商業・金融業の三部門で圧倒的でなくとも、時代の変化の中でヘゲモニー国家は他にも存在するのではないかと考えているようだ。
さて、本題。イギリスはいかにしてオランダからヘゲモニーを奪ったのか。オランダはバルト海貿易で穀物をヨーロッパの多くの地域に輸送して、ヨーロッパ内部でのヘゲモニーを確立した。このシステムをイギリスは世界に拡大するのだが、実は、イギリスのヘゲモニーに関しては、オランダとポルトガルが大きく貢献したと考えられる。全て自力で勝つ取ったのではなく、ニ国の成果をうまく利用できたからこその大英帝国なのだというわけだ。
近世のオランダは地方分権的国家で、中央政府は商人の動きをコントロールできるほどの権力がなかった。オランダの商人は国内の利子率が低い故に、有利な投資先としてイギリスを選んだ。イギリスは名誉革命が発生した1688年頃からナポレオン戦争が集結した1815年までフランスと戦争状態にあり、第二次百年戦争と言われる。世界中のマーケットをフランスと争っていた。イギリスは、戦争遂行のため国債を発行し、オランダが購入していたわけで、最初のヘゲモニー国家が次のヘゲモニー国家の誕生を促進したといってよいわけだ。
…フランスが朕は国家なりの絶対主義国家で、ルイ14世が好きなように戦費を取り立てて財政破綻しフランス革命を呼び寄せたのに対し、イギリスは国会が国債の発行を行い戦費を賄った。この国債の返還のためにフレンチ・インディアン戦争分をアメリカ植民地に払わせようとしたので独立革命が起こったのだが…。とにかく、オランダがイギリスの戦争を後押ししたのは事実。フランスのカルバヴァン派・ユグノーが追い出され、オランダに移りゴイセンとなった故に、カトリックのフランスより、仲間のピューリタンや一応プロテスタントの英国国教会の方が味方しやすかったのだろうか。いや、そういう一面もあっただろうが、おそらくは金利という経済的な側面が強いと思われる。
ポルトガルは、ヨーロッパ諸国に先駆けて、武力によるアジア・アフリカの諸地域を征服したので、国家が先頭に立って商業を強化した国家のように思われがちだが、現在の歴史研究動向では、当時の王室の財政は不安定で、政治力も小さく、商人自らが組織化して乗り出したために生じたとされている。ポルトガル海洋王国は、商人の帝国だったのである。そのため、他国に海外領土が征服されてもポルトガル商人の影響力は依然として残った。事実18世紀末までアジアでもっと話されていた言語はポルトガル語だったと言われている。
イギリスは、国家の力で領土を拡大し、大艦隊を有して植民地を保護したので、ポルトガルの商人ネットワークとは大きく異なるが、ポルトガルが開拓した航路を使い、領土を奪った。しかも、1703年のメシュエン条約がイギリスにとって大きな利益を産んだ。このメシュエン条約は、イギリスがポルトガルからワインを低関税(フランスの1/3)で輸入し、ポルトガルはイギリスの毛織物の禁輸措置を解除した条約。ポルトガルはこれによってイギリス依存が強まり、輸入超過となったが、ブラジル産の金をイギリスに渡すことで経済は破綻しなかった。この金が産業革命の資本また金本位制の確立に番っていく。政経で教えるリカードの比較生産費説で、このワインと毛織物の例がよく使われる。
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https://gentosha-go.com/articles/-/10314 |
2024年1月17日水曜日
イタリアは何故衰退したのか
まず、金融・保険業から。ジェノヴァで創設されたサン・ジョルジョ銀行が世界最古の銀行と言われているが、為替や貸付、投資機能は大きく発展したものの、信用創造制度は発達しなかった。通貨供給量が増えないという弱点があった。海上保険業も発達していたが、確率論を欠いており、保険率をきちんと計算できなかった。通説とは異なり、イタリアの金融・保険業は決して近代的なものではなく、過大評価しないほうがいいと言うわけだ。海運業も、森林を伐採するとそれまでという資材不足から衰退していく。16世紀末には造船技術でも北ヨーロッパに追い越され、また囚人や奴隷など安価な漕ぎ手でガレー船を運行していたが、供給不足で自由民を雇う流れのなかで、コストが上昇していく。イタリアのそれまでの先進的だった金融業・保険業・造船技術・海運業といった強みがことごとく弱っていったのである。
さらに、近世におけるエネルギー問題では、木炭や石炭が、イタリアでは枯渇状態ならびに非生産であり、それにも増して、人口増による慢性的な食糧不足が発生する。ヨーロッパ全土に蔓延した食糧不足はイタリアでは他地域よりかなり深刻で、北ヨーロッパからの穀物を輸入せねばならなくなった。このことがきっかけで、(地中海の)貿易の海運は、北ヨーロッパ(イギリス/オランダ/スウェーデンなど)に握られてしまい、致命傷となったのだった。
…イギリスがまだヨーロッパの田舎だった頃、貴族の子弟は、イタリアに旅することが流行した。これを請け負ったのが、かのトーマス・クック社(世界最古の旅行会社)である。田舎者が当時最高の芸術に触れ、帰りにフランスでテーブルマナーを学ぶという修学旅行の原点であるそうな。ローマ文明とルネサンスの先進国・イタリアへの憧れは今なおヨーロッパ人の中に存在するに違いない。
…「帳簿の世界史」(画像参照)という本を一時期呼んでいたのだが、ある程度の簿記の知識が必要のようで、途中で挫折してしまった。そこに、イタリアの金融業の話が出てくるのだが、かなりいいかげんな帳簿管理をしていたようだった。それくらいの記憶しかないのだが、イタリアの先進性がことごとく踏み潰されていく様子は哀れだとしか言いようがない。国家統一の遅れも当然重要だが、こういう経済史からの視点は実に面白い。
2024年1月16日火曜日
ヘロドトス「歴史」への懐疑
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https://tini18.hatenadiary.com/entry/2022/12/13/005849 |
ギリシア文明は過大評価されている。たとえば、民主主義発祥の地だとされている。18歳以上の男子が参加する民会による直接民主制は、女性の参政権はなく、奴隷制度の上に立脚していた。またヨーロッパの歴史学では、アテネ研究がほとんどで、他のポリスの状況はほとんどわかっていないのが実情である。たしかに、他のポリスもそうだったのかは定かではない。
ところで、ペルシア戦争について詳しく記しているのはヘロドトスの「歴史」のみである。ヘロドトスは、この戦争を、ギリシアのポリスが自由を護るため連合して打ち勝ったという視点で書いている。しかし、歴史家の多くは、アケメネス朝ペルシアとギリシア・ポリスの帝国主義的な勢力争いだと見ている。穀物が不足しがちなギリシア・ポリスでは、植民市を地中海各地に配置していた。オリエントを統一した大帝国であったアケメネス朝ペルシアに対して、イオニアの植民市が反乱を起こしたのがきっかけで、「戦闘」が起こった。重装歩兵のマラトン、サラミスの海戦、プラタイアの戦いと勝利し、「戦争」に勝ったとされている。カリアスの和約があったらしいが諸説ある。「戦闘」に勝ったのと「戦争」に勝ったというのは、少し意味が違うというわけだ。
そもそもこのペルシア戦争、ギリシア側には大事件であったが、アケメネス朝ペルシャにとっては、西端で生じた小さな戦争であり、将来に大きな影響を及ぼしたものでない。だが、ヨーロッパ人にとってインパクトが大きく、(ヘロドトスの主張する)自由のための戦いに勝利した、と後世のヨーロッパ人は錯覚した。ここから、自由の担い手はヨーロッパであり、オリエントさらにアジアには自由はないという妄想が染みついてしまった。ヨーロッパ人の「自由」とは彼らに都合の良い観念であり、それを生み出したのがペシア戦争だと言えるわけだ。
…なるほど。高校の世界史は、そういうヨーロッパ史観だけでなく、これまであまり顧みられなかった東南アジア・中央アジア、ラテンアメリカ、アフリカなどの歴史も学ぶようになっている。生徒からすれば、学習範囲がかなり増大したに過ぎないのだが…。
2024年1月15日月曜日
地元図書館で玉木俊明を借りる
このところの共通テストで、思考力を問うというコンセプトが強くなっているということは、授業で教えない=学ぶ側も知らないことを問題化するということと言い換えることができる。たしかに、教える側が定期考査や模擬問題などを作成する場合も、教科書にない、あるいは授業ではふれていない資料を使うことになる。それだけ、教える側のさらなる研鑽が必須になってきた、ということである。
地歴にしても公民にしても、現実の世界が凄いスピードで動いており、それらの把握だけでも大変なのだが、教材研究として、地道にこういう刺激的な発見を続けていくしかないわけだ。まさに社会科教師残酷物語であるが、そういう苦悩がまたこの仕事の魅力でもあると私などは思っている。
2024年1月14日日曜日
共通テスト2024 政経
共通テスト2024 倫理
2024年1月13日土曜日
日本人選手のヤンキース離れ
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https://allgoodpost.com/yankees-logo-by-tiffany/ |
今回のMLBのストーブリーグは、日本でも注目が高かった故に、実にバリバリのビジネスであるという現実を見せつけられた。いくら活躍しても年俸との兼ね合いで冷酷に掘り出される、実に厳しい世界である。今永がカブスを選んだ理由はまだよくわからないが、ヤンキースに行かなくて良かったよな、という感想を多くの日本人が感じたのではないだろうか。
2024年1月12日金曜日
オリジナル倫理模擬問題2~5
いよいよ明日は共通テストである。毎年のことだが、社会から始まる。文系の生徒は、9:30~11:40という時間帯で、地歴と公民の2教科受験の生徒がほとんど。だいぶ前に授業で演習したオリジナルの問題をエントリーしたが、残りの4題(2・4と5の後半は政経)もエントリーしておくことにした。いずれもかなり難解。もし、実際の問題と重なったらお慰みだが、まあありえないと思う。(笑)教え子たちの奮闘を願って、明日は祈りの日となる。
ヤットさん 現役引退の報
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http://riceballman. fc2web.com/AA-Illust/ Data/Endou.html |
今の日本代表は大幅に進化し、最強との呼び声もあるが、ヤットさんらに憧れて、今の選手がある。風貌はガチャピン(画像参照)で飄々とした性格で慕われた存在でもある。現役引退は残念ではあるが、あれだけ試合に出て活躍できたので本望だろう。これからはGAMBAのコーチに就任するらしい。
昔は万博東口の素朴な球技場で対浦和戦を見たが、今はパナソニックスタジアム吹田となって、随分立派なスタジアムになっている。まさに時の流れ…。長いことJリーグを見に行っていないけれど、久しぶりに足を運ぼうかなという気になったのだった。
ONE PIECE考 宗教学的考察
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https://xn--gck3an4dt260bnjua. gamematome.jp/game/968/wiki/ |
ワノ国では、仏教的な(タイなどで有名な)灯籠を飛ばす行事が見られるし、破戒僧海賊団のウルージは、イメージとしてインドのカルト集団的な存在である。ワンピースの世界は、決してキリスト教的統一世界ではない。
これらは、物語的には大きな意味はないように思っていたのだが、昨日あるYou Tubeの考察チャンネルで、くまが非道な五老星に対して事実上の娘であるボニーを助けるために爆死し、彼の死によって残された悪魔の実(ニキュニキュの実)がウソップに引き継がれ、その肉球の能力で「復活」するのではないか、というのがあった。うーん、かなり高度な考察である。実際にどうなるかは分からないが、もし「復活」となれば、ゴッドと呼ばれたウソップの本領発揮、バーソロミュー・くまはイエス的な存在になる。くまの悲惨な過去をあれだけ描いたのだからあり得る考察だと私は感心した次第。https://www.youtube.com/watch?v=75E65hrsLfw
もし、このとおりになれば、ワンピース最大の宗教的な「物語」となるだろう。ワンピースは、様々な民族の神話や伝説、民俗学を含む文化人類学的な要素が集積しているので、ありえない話ではない。
2024年1月11日木曜日
ONE PIECE考 世界人気投票
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https://animeanime.jp/article/2021/05/06/61173.html |
投票方法は、ハガキまたはWEB。両方できるとあったので、個人がキャラ1人だけに投票するという方式ではないようだ。ある程度の恣意的・組織票的な投票もなかったとは言い難い。まあ、目くじらをたてるほどのこともあるまい。
ベスト10の最終結果は、およそ妥当な結果だったように思える。ルフィが1位なのは主人公として当然。ゾロもサムライとしての矜持と志が魅力だし、事実上のヒロインである3位のナミも、優しく機転が利く両翼の4位、サンジも当然。3位4位はひっくりかえっていても驚かない。5位にローが入っているのも納得である。シャボンディ編以来、一味と関わり頂上戦争後にルフィを助け、パンクハザード編、ドレスローザ編、ゾウ編からワノ国編へと同盟を組んできた。そのシャイなキャラや過去の逸話など実に魅力的に描かれっている。6位のロビンも、アラバスタ編の最後に仲間入りしたものの、エニエス・ロビー編以降、最も仲間を愛している感じが出てきて好感度が倍増しているといえる。7位にはルフィーを愛する女帝・ボア・ハンコック。8位には、ゾウ編・ホールケーキアイランド編、ワノ国編で活躍したミンク族で、可愛さが強調されたキャロットが入っている。日本でより海外の人気が高かったようだ。そして、9位が義兄エース、10位が同じく義兄のサボ。この2人は、物語の脇役ながら、実にいい味を出している。
11位から20位には、15位ウソップ、16位チョッパー、18位ジンベエと一味が入っている。ちなみに、ブルックは26位、フランキーは28位である。これは意外。裏方的キャラにはあまり人気が集まらないらしい。ヤマトが11位なのは、前述のように登場した直後であったことが大きい。実に特異なキャラだし、今なら10位以内に入るのではないか。反対にすでに11位だというのが凄い。登場した時点から時間が経てば経つほどに、人気は薄れていく。今現在なら、過去が明らかになったバーソロミュー・くまが上位に来てもおかしくない。人気投票とはそういうものであると思う。だから、アラバスタ編のヒロイン・ビビは21位だし、魚人島編のヒロイン・しらほしは50位、ドレスローザ編のヒロイン・レベッカも68位だったりするわけだ。
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https://onepiec.animepopn.com/926/ |
2024年1月10日水曜日
「紅の豚」考 左翼の消化
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https://www.cinemacafe.net/movies/14610/ |
舞台はイタリア・アドリア海。この作品の背景には、WWⅠで大活躍した多くのパイロット達が反戦ムードの中で失業し、かのサン=テグッッジュベリが「夜間飛行」で描いたような危険な飛行による悲劇が起こっていた時代である。
このタイトルにある「紅」は、左翼の別称を意味している。当時のイタリアでは共産主義者を「赤い豚」と呼んでいた。主人公の通称:ポルコ・ロッソはそのままの意味である。岡田は、この作品は宮崎駿の私小説だと言っている。それは、宮崎駿も高畑勲も学生時代に左翼となり、東映では激しい組合活動に従事していたし、左翼であることは、数々の宮崎駿の発言からも十二分に読み取れるというのが大前提。(詳細はウィキに詳しい。)
主人公のポルコは、WW1でのパイロットたちの仲間に対し、空賊(航空機を使う海賊)の取締を仕事にしている。これは、「夜間飛行」で犠牲となったり、空賊として生き延びている元仲間に対する裏切り行為であるというわけだ。若い頃の左翼思想を大人になってどう消化するか。これが、この作品の隠れたテーマであるわけだ。
この大きな矛盾こそが、(左翼思想を捨てて資本主義の走狗として戦う)JALの国際線に乗るビジネスマンへのアイロニーであり、私小説的に見れば、宮崎駿の左翼に対するスタンスということになる。(宮崎駿は、スターリン主義でも毛沢東主義でもないが、かなり強烈なリベラリストであると言える。)
こういう感覚は、今の若い世代は理解し難いように思える。倫理の教師である私は、左右のど真ん中を標榜してきた。国際理解教育の世界は、どちらかというとリベラル志向が強い。だが、リベラルにも潜む罠があって、我々はうまく乗せられているのではないかという感覚も持っている。宮崎駿同様、軍事、特に航空機に対しての愛着は強いが、戦争には反対である。ただ、憲法論議については、ドグマに陥らない思索が必須だと思っている。
我々の世代には、まだまだ左翼あるいはリベラルな思想を堅持している人が多い。改めて、自らを「紅の豚」と考えているわけだ。ちなみに、豚に対応する人間は、ナショナリズムに埋もれている人を指すようだ。愛国債を買わないかと言われた主人公は、これを人間のものとして拒否している。
もう、右か左かという時代ではなくなった気がする。政治は右も左も利権に走り、まさにチャーチルの言うどうしようもない「民主主義」の様相を呈しているからだ。…結局、暗澹たる末筆になってしまった。
2024年1月9日火曜日
ONE PIECE考 ウソップの存在
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たしかに、一味はとんでもなく強い。主人公のルフィーは、言わば、「一途な無謀さ」を体現している。同様の無謀さを持つ義兄弟のエースやサボに「手を焼くだろうが…。」と表現されているくらいだ。(笑)ルフィの格率は、仲間や友達、弱い者を守ることで全てであり、そこには相手が、世界政府であろうと、天竜人であろうと四皇であろうと些かの躊躇もない。そこが常人と異なるところである。もちろん強いからこそ体現できる格率である。
両翼のゾロもサンジもむちゃくちゃ強い。物語が進むに連れさらに強力になっている。ジンベエも強い。元王下七武海である。この4強だけでも凄いのだが、サイボーグであるフランキーも実に強いし、ブルックも護衛船団の元団長、剣士としても一流である。ロビンも戦闘時には、ハナハナの実の能力をうまく使っており決して弱くない。ナミも、昔は弱かったが雷の攻撃がだんだん強力になってきている。チョッパーも変身することで、攻撃力を上げてきた。
そんな一味の中で、唯一段違いに弱いのがウソップである。有能な狙撃手として、時たまいい仕事(エニエス・ロビー編で世界政府の旗を撃ち抜いたり、海楼石の手錠の鍵を一瞬で届けたり、あるいはドレスローザ編で、人間をおもちゃに変えるシュガーを気絶させたり)をしているが、普段は「臆病」を全面に押し出しているネガティブ・キャラである。だが、このルフィーの無謀に対するアンチテーゼが、ウソップの口から出ることで、一般読者にとっては物語が中和されているというわけだ。一般読者が物語に入り込むための装置といっても良い。彼は決して「道化」という位置づけではないわけだ。
私は、ウソップが好きではない。そもそもネガティブな発言が嫌いだからだが、なるほどと思った次第。
2024年1月8日月曜日
「歩」によるチェックメイト
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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231219/k10014292071000.html |
紅海が封鎖されれば、アフリカ南端経由になる。この紅海を通過する貿易量は世界の海運の40%と言われており、流通の距離拡大と遅れは、供給に多大な影響を与え、コスト・プッシュ・インフレを発生させるのは必定である。
まだ、ホルムズ海峡の方は問題なさそうだが、日本にとっては生命線が絶たれることになる。イランもロシアも沈黙を守っているが、万が一、イスラエルやアメリカが暴発した場合封鎖されることは容易に想像がつく。そもそもイランは親日国なのだが…。もはやアメリカの属国と化している現在、共に流されるしかない。自らの利権にしか興味のない政治家ばかりで、心もとない。国士はどこに隠れているのか。
2024年1月6日土曜日
もういらない。紅白と万博。
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https://jaa2100.org/entry/detail/030396.html |
ところで、大阪では万博を中止すべきだという論議が湧き起こっている。万博は、近代社会の誕生とともに始まった。ロンドンやパリで、最新の建築技術(ガラスや鉄鋼建築)が発表され、各国が国威を示す様々な科学技術の展示会としての、時代の要請から生まれたものだ。大阪で万博が開かれたのは、高度経済成長期にあった1970年。私は中学1年生であった。このころは、当然簡単に世界的な情報を得ることは書籍等以外ほとんど不可能だった。(TV番組でも、海外ロケなどは少なかった。)だからこそ、万博開催の意義は大きかったと思われる。
初めて万博会場に近づき、三菱未来館を見たときの興奮は、未だに覚えている。10回近く行ったように思う。ちなみに三菱未来館では、3D映像を始めてみた。ソ連館の威容に驚き、アメリカ館の月の石展示に続く行列を横に見ながら、各パビリオンの様々な巨大スクリーンに映る映像に圧倒された。わたしが一番印象に残っているのは、日立館のフライトシミュレーターである。最後の着陸を担当したこともあって大いに印象に残っている。今や、PCのゲームで楽しめるが、当時は大変な技術だった。空港などで珍しくない動く歩道も万博会場で最初に乗って驚いた。また、アフリカ諸国の小さなパビリオン集合体のことも印象に残っている。先進国の巨大パビリオンに比して、なんとも小さなスペース(ほとんど観光案内所という感じだった。)に黒人女性がぽつんと立っていた。この格差に当時中学生だった私は驚いた。1970年の大阪万博は、様々な学びの場となったのだった。
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https://hide333a.sakura.ne.jp/expo70_j01.htm |
なのに、府政や市政を握る某党は万博を無理やりでも推進しようとしている。財政的にも完全な無駄遣いであり、様々な赤字計上が予想されているのに、である。利権構造上に万博があるのは明らかである。誰のための万博か。…時代とともに存在意義を失ったものは、もういらない。利権が絡むのであればなおさらである。
2024年1月5日金曜日
ONE PIECE考 ユングの老賢人
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https://one-piece.com/charact er/Silvers_Rayleigh/index.html |
まずは、冥王シルバーズ・レイリー。元ロジャー海賊団副船長にして、覇王色・武装色・見聞色の覇気の達人。ルフィが頂上戦争後に修行し実力を一気に上げることができた、師匠である。さらに、ワノ国編で登場したヒョウ五郎親分。ルフィに流桜(触れずに相手の内部を破壊する武装色の覇気の上位)を伝授した。2人共、ユングの老賢人のイメージ(ひげの老人)にぴったりである。
コビーやクザンにとって、ガープ中将も、老賢人というイメージだし、サンジにとってのゼフ、ナミにとってのウェザリアでのハレダス、フランキーにとっての船大工トムも同様である。ちなみに、ゾロにとっての師・ミホークは、老賢人というには若すぎるよな。(笑)
2024年1月4日木曜日
ONE PIECE考 緑牛の台詞
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https://renote.net/articles/243243 |
タイトルに「緑牛」とあるのは、現海軍大将・アラマキの通称である。海軍の最高戦力の1人で、もちろん悪魔の実(モリモリの実)の能力者である。ワノ国編が、光月家の赤鞘衆と麦わら一味らの活躍で平和裏に終了しようとしているまつりの夜に、突如登場した時の話である。将軍・モモの助、赤鞘衆そしてヤマトらがその気配を察知、いち早くワノ国を守るべく、緑牛に戦いを挑むのだがほぼ返り討ちにされる。(ヤマトは助太刀をモモの助に阻まれる。麦わらの一味も気づいていたが、あえて手出しをしなかった。)結局、近くにいたシャンクスの覇気に身の危険を感じ逃げ出すのだが、この時の緑牛の台詞が、今日のメインである。曰く「世界政府未加盟のワノ国の人間には人権などない。」という台詞(趣意)である。
私が違和感を感じたのは、台詞の「人権」という語彙である。読者にとっては極めてわかりやすい台詞だが、ワンピースの世界は、世界政府という独裁政治機構が存在し、加盟する国の多くが「王国」である。革命軍が各地で動いているが、民主主義の国は未だ登場していないと思う。よって、人の支配下にあるこのワンピースの世界で、人権という概念は一般的に認識されていないはずである。
別に目くじらを立てているわけではないのだが、大きな違和感があったのだ。だから、どうしたと言われればそれまで。(笑)自由を何よりも重視する主人公のルフィーが目指す物語であるから、さらにその先にある人権がここで語られるのは早急、というだけの話である。
2024年1月3日水曜日
THE ALFEEのこと Ⅹ
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https://ameblo.jp/alfee1220/entry-12834495449.html |
地震の次は羽田空港の事故。
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https://www.traicy.com/posts/2014121414065/ |
2024年1月2日火曜日
最悪の元旦、石川県地震。
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https://mainichi.jp/articles/20220620/k00/00m/040/050000c |
火災の映像を見て、阪神大震災の神戸市・長田区の様子を思い出した。年明け、それも元旦から被災された方々の痛みは想像を絶する。実は、震源地に近い珠洲市は、高校時代にクラス単独で行った修学旅行先である。輪島や穴水といった地名には、それゆえに馴染みがある。多くのクラスメートも同様の想いを抱いたはずだ。(上記画像は、能登のシンボル・見附島の土砂が崩れた様子。)石川県には、ピーター会のT先生、また新潟方面の三条市にも親友が在住である。震度5強というから、かなりの揺れがあったはずである。
改めて、被災者の方々に心からお見舞い申し上げたい。関係各位のご尽力にも大いに期待したい。
2024年1月1日月曜日
あまり希望のない2024年に。
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https://www.pinterest.jp/pin/1040472320141089018/ |
前回の米大統領選の欺瞞から始まったおかしな動きは、コロナ禍、ウクライナ紛争と拡大し、昨年さらにイスラエルとハマスの泥仕合へと加速していった様に思います。G7諸国の中で、順調な国はひとつもありません。カナダでは、アメリカへの不法移民がカナダに流れ込み大混乱を引き起こしていますし、イギリスではエネルギー問題で苦境に立たされています。ドイツは、中国経済の停滞が経済面で響き、ドイツ銀行が危ないなどという憶測すら流れています。フランスは、西アフリカの旧植民地諸国が二分され、介入せざるを得ない状況にあります。イタリアは最も早く一帯一路に乗ったお陰で経済が低迷、そしてアメリカは、過激な左翼的政策で、不法移民の流入、治安の悪化、民主党支持層と共和党支持層の対立激化が顕著で、内戦化する可能性があります。インフレは収まりつつあるようですが、イスラエルとウクライナのニ面作戦はいかにアメリカといえど負担は大きすぎるといえます。
日本は、そのアメリカに引きずられ、まさに傀儡。与党のP券脱税事件で大荒れの国会の裏側で、日本製の自衛隊用の高性能ミサイルをアメリカが購入、ウクライナに送ろうとしているという報道もあり、武器輸出三原則もクソもない状態です。以前ラジオで原爆投下を涙ながらに批判したダウンタウンの松ちゃんがスキャンダルに巻き込まれたのも今更ながらおかしい話で、国民の目を欺こうとする情報操作の疑いが濃いと思われます。
一方で、中国の経済崩壊は近いのではないかと思われます。このままさらに経済の崩壊が進めば、失うものがない人々は、座して死を待つか立ち上がるかしかありません。目をそらすための台湾侵攻は否定できませんが、リスクが高すぎますし、占領するには輸送用船舶が少なすぎます。BRICS+つながりで、イランと連携してなどという線もなくあありませんが、おそらくイラン・ロシアには武器輸出に徹するような気がします。サウジもここに来て、OPEC+での減産の思惑をアフリカのナイジェリアやアンゴラに反対され、アンゴラは得るものがないとOPEC+を脱退してしまいました。産油国の盟主の影響力低下が見られます。ロシアも、労働者不足からインフレが進んでおり、紛争の影響はじわじわと押し寄せています。
2024年のシナリオは、アメリカと中国どちらが先に崩壊するかといったものかもしれません。暗い話題ばかり書きましたが、未来ある教え子のために、平和を祈り続ける1年でありたいと思います。本年もよろしくお願い致します。