2023年3月10日金曜日

山本七平 「南京百人斬」 

https://www.history.gr.jp/nanking/100.html
山本七平は青山学院大出身。学徒動員で将校としてフィリピンに行っており、「私の中の日本軍(上・下)」「一下級将校の見た帝国陸軍」という戦争三部作を書いている。私自身、山本七平の著作とは意識せず「一下級将校の見た帝国陸軍」は読んだ記憶がある。

ところで、「山本七平の思想」では、本多勝一の「中国の旅」でも有数のセンセーショナルな「南京での百人斬り」の話が出てくる。山本七平は、この百人斬りゲーム(実際には向井が89人、野田が78人)は、成り立たないと指摘、論争を続けた。状況的には、33kmを行軍しているが、8ないし9時間かかるはずで食事や休止時間を考えれば、90秒から130秒ごとに1人ずつ殺し続けた計算になる。これは信じられない、というわけだ。しかも日本刀の耐久性はない、ということを専門家の成瀬関次氏の著作を引いて論証している。

この他にも山本七平のフィリピンでの話が出てくるのだが、悲惨な話も多い。これは後に記すことになると思うのだが、キリスト者として特に軍の中での第三者的な違和感が強く現れているという著者の視点に同感である。

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