2017年6月18日日曜日

IBTの話(102) 第一回EJU '17

本年度の試験会場 ワンウタマにあるKDU
本年度第一回目のEJU(日本留学試験)の日である。昨年度実施校だったチャイナタウンの中学校が改築工事のため、ワンウタマにあるKDUという大学で実施された。昨年は、全くの初体験で、見るもの、聞くもの全てが新鮮であったが、今年はさすがに経験値が上がっている。この6月のEJUは、ほとんどの学生にとって腕試し、11月の第二回EJUへの練習といってよい。だが我がクラスには、W大志望の学生もいて、彼女にとっては真剣勝負である。

総合科目、特に私が教えている公民分野は、日本語能力がないと理解ができない。学生の日本語力向上を待っていた関係でスタートが遅く、6月の時点ではシラバスの半分くらいしか学習していない。そこで、今回が勝負の学生には、特別に何度も先々の学習内容の補習を重ねてきた。

ところが、先日の金曜日、何人かの学生がまだ学んでいない所を少しでも教えて欲しいと言ってきた。「6月は腕試しやし、点数が悪くてもいいぞぉ。」と私が言っていたのに、どうしたのか?と聞いてみた。聞くと、点数がいいと予約奨学金がもらえるらしい。この話は、うっすらと聞いた記憶がある。彼らにとっては、少しでも親に負担をかけないで済むように、この6月のEJUでその権利を得たいらしい。教師としては、こういう話に弱い。

で、金曜日の昼休みはムスリムの生徒は礼拝があって、少し長目なので急遽補習をすることにした。EJUに良く出る箇所(地歴も公民も)を紹介すると共に、WWⅡ以後の現代史を全力疾走で教えたのだった。もちろん、公平をきすため、全員に、補習を急遽やるぞぉということをLINEで流してもらった。連絡がつかなかった学生には放課後同様の補習をしたのだった。

社会科のパートナーのT先生とも、6月までに一応の範囲を終えるべきか話し合った。だが、やはり日本語力の問題が立ちはだかる。今なら我がクラスの学生は十分理解できるが、国費生(特に今年の国費生は私費生との日本語力の差が大きい。)は厳しい。無理して進めると、総合科目はただの暗記科目になってしまう。私は、なによりそれを避けたい。社会科は面白い。だから勉強しようというのが王道だ。まずは、社会科の面白さを植え付けたい。6月のEJUを利用する大学を志望する者、奨学金のために高得点を狙う者も大事にしてあげたいが、やはりこのポリシーを最重要にしたい。
この奥の講堂がが試験会場 日本語の試験開始直前
幸い、学生たちは、”できるだけのことはしてあげたい”という私の気持ちをよく理解してくれている。そういう信頼関係が十分根付いているようだ。私とハイタッチしながら我がクラスの学生は試験会場へ向かっていった。そんなこんなで、第1回EJUの試験は終わったのだった。

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