2017年6月15日木曜日

「イスラムの怒り」を読む。

「イスラムの怒り」(内藤正典著/集英社新書・2009年5月発行)、これも日本人会の無人古本コーナーで手に入れた新書で、バス通勤の合間に少しずつ読んできた。内藤氏は同志社大学のグローバルスタディーズ研究科長の社会学者である。よって、宗教学の本と言うより、欧米とイスラム圏との社会学的関わりの中で、イスラム教を理解するというスタンスの本である。卑近な表現で申し訳ないけれど昔あった「私プロレスの味方です。」という本になぞられえると「私ムスリムの味方です。」といった感じの本である。
私はプロレスの味方であるとともに、在マレーシアでムスリムの学生を教えている教師であり、異文化理解の面からもムスリムの味方である。(笑)

最初に、W杯イタリアとの決勝戦でのジダンの話が出てくる。導入としては申し分のない話だ。ジダンはフランス国籍だが、アルジェリア出身の移民である。彼がイタリアの選手の差別的発言に頭突きを食らわしたのは何故か?という話である。ムスリムの教え子たちに、ジダンが怒った理由は、ムスリムとして同感かどうか教えてもらった。彼らは当然だといった。その怒った理由はあえて伏せるが、なるほどなあと思う。欧米のキリスト教徒との差というか、キリスト教徒側の無理解は大きい。私たちブディストがムスリムのことについて無知であることと、経典の民であるキリスト教が無理解であることは、かなり違う。全編、こういうポリシーで書かれている本である。いずれ、その詳細を何かに関連づけてエントリーする事もあろうかと思う。なかなかお勧めの本だと思う次第。

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